7. 腫瘍によるリンパ管閉塞で嚢胞内腫瘍様画像を呈した左乳癌の1例
症例は75歳, 女性. 2ヵ月で急速に増大した左乳房腫瘤を主訴に来院した. 左乳房全体を占める小児頭大の腫瘤は, 皮膚に軽度の発赤を伴ったが浸潤はなく, 腋窩のリンパ節は触知しなかった. マンモグラフィは撮影不能で, 超音波は全体像が不明だが, 嚢胞が主体で, 壁の一部に充実性部分を認めた. CTでは境界一部不明瞭なlow density内に, 造影される肥厚した壁を認めた. 嚢胞内乳癌または化生性乳癌を疑い, 超音波下針生検を施行したところ, invasive ductal carcinomaの診断を得た. 増大傾向にあることから手術を急ぎ, 胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清を施行した....
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Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 60; no. 1; pp. 80 - 81 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
2010
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Summary: | 症例は75歳, 女性. 2ヵ月で急速に増大した左乳房腫瘤を主訴に来院した. 左乳房全体を占める小児頭大の腫瘤は, 皮膚に軽度の発赤を伴ったが浸潤はなく, 腋窩のリンパ節は触知しなかった. マンモグラフィは撮影不能で, 超音波は全体像が不明だが, 嚢胞が主体で, 壁の一部に充実性部分を認めた. CTでは境界一部不明瞭なlow density内に, 造影される肥厚した壁を認めた. 嚢胞内乳癌または化生性乳癌を疑い, 超音波下針生検を施行したところ, invasive ductal carcinomaの診断を得た. 増大傾向にあることから手術を急ぎ, 胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清を施行した. 手術に先立ち血性嚢胞内容液を900ml吸引したが細胞診はClass IIであった. 摘出標本の割面では出血壊死巣はなく, 嚢胞腔上部に14cmの灰白色で均一な充実部分を認めた. 病理所見では, 胞巣状に配列した癌細胞が周囲組織に浸潤し充実腺管癌の像であった. 嚢胞壁には乳管上皮はなく, CD31, CD34, Factor VIIIで染色される部位があり, 特にD2-40で染色されることからリンパ管由来と考えられた. 元々のリンパ管腫やリンパ管が腫瘍によって閉塞され, 急速に増大したことが今回の病態と推測された. リンパ節転移は陰性で, ER(+)PgR(-)HER2(-)のため, anastrozoleの内服でfollow upしているが, 現在術後10ヵ月で再発の兆候はない. 奇異な病態を呈した, 浸潤癌を経験したので文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 |