11. ロキソプロフェンナトリウムによる重症薬物性肝障害の一例

36歳, 女性. 上腹部痛を認め, 自己判断でロキソプロフェンナトリウムを内服した. その5日後から黄疸が出現し前医入院となった. 入院後, T-Bil 27.9mg/dl, AST442IU/l, ALT 130IU/lと上昇を認め, ステロイドパルス療法を行ったが改善を認めず当院転院となった. DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準案では肝障害は混合型, スコアは9点であった. 肝生検では肝実質の炎症細胞浸潤は軽度であったが, 胆汁栓と小葉間胆管の消失を認め, 薬物性肝障害を示唆する所見であった. T-Bilは32.0mg/dlにさらに上昇し, 2回目のステロイドパルス療法を施行し, ウ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 57; no. 2; p. 211
Main Authors: 佐藤洋子, 市川武, 解良恭, 大井晋介, 柴田綾, 安岡秀敏, 柿崎暁, 佐藤賢, 高木均, 森昌朋
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 2007
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:36歳, 女性. 上腹部痛を認め, 自己判断でロキソプロフェンナトリウムを内服した. その5日後から黄疸が出現し前医入院となった. 入院後, T-Bil 27.9mg/dl, AST442IU/l, ALT 130IU/lと上昇を認め, ステロイドパルス療法を行ったが改善を認めず当院転院となった. DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準案では肝障害は混合型, スコアは9点であった. 肝生検では肝実質の炎症細胞浸潤は軽度であったが, 胆汁栓と小葉間胆管の消失を認め, 薬物性肝障害を示唆する所見であった. T-Bilは32.0mg/dlにさらに上昇し, 2回目のステロイドパルス療法を施行し, ウルソデオキシコール酸, フェノバルビタール, インチンコウトウを内服した. 同時にビリルビン吸着療法を4回, 血漿交換を3回行ったものの, T-Bilはなお高値で, 3回目のステロイドパルス療法を行った. 以後, 肝胆道系酵素は改善を示した. その後の肝生検では一部に小葉間胆管の再生を認めた. ロキソプロフェンナトリウムによる薬剤リンパ球刺激試験は陽性でであり, 本症例は同薬剤による薬物性肝障害と考えられた.
ISSN:1343-2826