3.Anastrozoleのneoadjuvant治療でpCRを得た乳癌の1例

近年, 乳癌の術前化学療法はホルモンレセプター陰性群のみで有効であり, 陽性群のpCR率が著しく低いことが指摘されており, 閉経後のレセプター陽性群ではaromatase inhibitorを用いた術前治療の有効性が期待されている. 今回, 術前にanastrozoleを内服してpCRを得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は68歳女性で, 検診で左乳房腫瘤を指摘された. 左乳房C領域に約2cm大の弾性硬で境界不明瞭な腫瘤を触知した. MMGでは左乳房に腫瘤影を2つ認め, USGでは左C領域に10mmと6mm大の内部不均一で境界不明瞭な腫瘤を認めた. 所属リンパ節に転移を認め...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 57; no. 1; pp. 103 - 104
Main Authors: 河野誠之, 井上賢一, 田部井敏夫, 黒住昌史, 川野輪香織, 下岡華子, 武井寛幸, 二宮淳, 吉田美穂, 萩原靖崇, 上村万里, 末益公人
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 2007
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Description
Summary:近年, 乳癌の術前化学療法はホルモンレセプター陰性群のみで有効であり, 陽性群のpCR率が著しく低いことが指摘されており, 閉経後のレセプター陽性群ではaromatase inhibitorを用いた術前治療の有効性が期待されている. 今回, 術前にanastrozoleを内服してpCRを得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は68歳女性で, 検診で左乳房腫瘤を指摘された. 左乳房C領域に約2cm大の弾性硬で境界不明瞭な腫瘤を触知した. MMGでは左乳房に腫瘤影を2つ認め, USGでは左C領域に10mmと6mm大の内部不均一で境界不明瞭な腫瘤を認めた. 所属リンパ節に転移を認めなかった. CNBで浸潤性乳管癌, ER(+):Allred score 7, PgR(-):Allred score 0, HER 2:score3であった. 術前にanastrozoleを約3ヶ月間内服し, 術前のUSGで腫瘤はそれぞれ7mmと3mmに縮小していた(RECIST基準でPR). 特に副作用も認められなかった. 乳房温存術の切除標本の病理学的検索では浸潤巣は全く消失し, 少量の乳管内成分の残存を認めるのみであった. 組織学的効果判定はGrade3+1a(d)であり, pCRに相当する効果が得られた.
ISSN:1343-2826