1.腫瘤を契機に発見された乳房異物(針)の1例
今回我々は, 受傷経過が全く不明にもかかわらず腫瘤を契機に発見された乳房異物(針)の1例を経験したので若干の文献考察を加え報告する. 症例は28歳女性, 平成14年3月1日頃より左乳房の腫瘤を自覚し, 同年4月4日に当科を受診した. 初診時, 左乳房D領域に弾性軟, 乳頭腫瘍間距離は1.5cm, 可動性良好で皮膚病変を伴わない1.0×1.0cmの腫瘤を触知した. 胸部単純X線および乳腺撮影では, 腫瘤部位に一致して長さ1cm, 幅0.05cmの細い線状の高吸収陰影を認めた. 超音波検査では触知する腫瘤に一致する特異的な所見は存在しなかった, 以上より乳房異物と診断し, 4月17日に局所麻酔下に...
Saved in:
Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 52; no. 6; p. 487 |
---|---|
Main Authors: | , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
2002
|
Online Access: | Get full text |
Tags: |
Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
|
Summary: | 今回我々は, 受傷経過が全く不明にもかかわらず腫瘤を契機に発見された乳房異物(針)の1例を経験したので若干の文献考察を加え報告する. 症例は28歳女性, 平成14年3月1日頃より左乳房の腫瘤を自覚し, 同年4月4日に当科を受診した. 初診時, 左乳房D領域に弾性軟, 乳頭腫瘍間距離は1.5cm, 可動性良好で皮膚病変を伴わない1.0×1.0cmの腫瘤を触知した. 胸部単純X線および乳腺撮影では, 腫瘤部位に一致して長さ1cm, 幅0.05cmの細い線状の高吸収陰影を認めた. 超音波検査では触知する腫瘤に一致する特異的な所見は存在しなかった, 以上より乳房異物と診断し, 4月17日に局所麻酔下にて異物摘出術を施行したところ病巣より長さ0.8cm, 太さ0.04cmの錆びた針状金属片を摘出した. 周囲の組織は黄色でやや硬いが脂肪織であったため, 異物のみ摘出とした. 乳房異物としては豊胸目的のシリコン挿入以外では非常に希である. 伏針としては, 裁縫針や釣り針を過って刺した場合や針治療によって生じる事が多く, 刺入部位も四肢, 体幹が大多数を占める. いずれも場合も受傷経過が明らかであり受傷から受診までの期間も短い場合が多いが, 自験例では受傷経過が全く不明であり腫瘤の形成を主訴としている. 発表では本症例の受傷機転を中心に考察を加える. |
---|---|
ISSN: | 1343-2826 |