5. 他領域癌の治療中に発症した急性腹症手術症例の検討
【目的・方法】過去20年間(1980年1月-1999年12月)に, 消化器以外の他領域癌の治療中に発症し, 手術がなされた急性腹症30例を対象に, 病態と治療内容, 手術成績について検討した. 【結果】1)急性腹症の内訳はイレウス14例(癌の再発, 転移によるもの6例, 他疾患, 癒着によるもの7例, 大腸癌の合併1例), 出血性胃潰瘍8例(転移性胃腫瘍出血1例含む), 腹膜炎8例(十二指腸潰瘍穿孔3例, 小腸穿孔3例, S状結腸穿孔1例, 転移性肝癌破裂1例)であった. 2)出血性胃潰瘍の6例と十二指腸潰瘍穿孔の3例は, 頭頸部癌の術後あるいは化学, 放射線治療中であった. 3)小腸穿孔はい...
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Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 6; p. 563 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
2000
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Summary: | 【目的・方法】過去20年間(1980年1月-1999年12月)に, 消化器以外の他領域癌の治療中に発症し, 手術がなされた急性腹症30例を対象に, 病態と治療内容, 手術成績について検討した. 【結果】1)急性腹症の内訳はイレウス14例(癌の再発, 転移によるもの6例, 他疾患, 癒着によるもの7例, 大腸癌の合併1例), 出血性胃潰瘍8例(転移性胃腫瘍出血1例含む), 腹膜炎8例(十二指腸潰瘍穿孔3例, 小腸穿孔3例, S状結腸穿孔1例, 転移性肝癌破裂1例)であった. 2)出血性胃潰瘍の6例と十二指腸潰瘍穿孔の3例は, 頭頸部癌の術後あるいは化学, 放射線治療中であった. 3)小腸穿孔はいずれも悪性リンパ腫化学療法中であった. 4)手術成績は, 術死が2例(6.6%)あり, 8例(26.6%)が癌進行による在院死であった. 術後6ヶ月以上生存し得た症例は18例(60.0%)であった. 【結語】1)消化性潰瘍の出血, 穿孔は頭頸部癌の治療中に発症するのが特徴であり, 頭頸部癌特有の痛みとストレス, 化療, NSAIDの多用が誘因と考えられた. 2)重篤な基礎疾患と化学, 放射線治療等の背景下に発症した急性腹症では, 全身状態はきわめて不良であり, 手術適応の判断が困難であった. しかし背景リスクをよく乗り越えた手術成績であった. |
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ISSN: | 1343-2826 |