4. 高度肝機能障害合併肝癌切除術後の合併症と管理

【目的】高度肝機能不良肝細胞癌(HCC)切除症例の合併症と予後を検討した. 【対象と方法】1992年2月から2000年4月までに当院で切除された術前ICGR15値30%以上のHCC12例(A群)とICGR15値30%未満の68例(B群)を対象に検討した. 【結果】両群間で年齢, 性別に差はなかった. 臨床病期はA群で有意に不良であった. 腫瘍個数, 主腫瘍径, Stageには両群で差はなかった. 手術術式ではA群で有意に小範囲切除が多かったが, 手術時間, 出血量, 輸血の有無に差はなかった. 術後の合併症(高ビリルビン血症, 腹水, 感染症など)の発生頻度も両群間で差はなかった. 在院死,...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 6; pp. 562 - 563
Main Authors: 蒔田富士雄, 饗場正明, 村岡正人, 坂田修治, 横田徹, 川島修, 遠藤敬一, 竹吉泉, 大和田進, 森下靖雄
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 2000
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Summary:【目的】高度肝機能不良肝細胞癌(HCC)切除症例の合併症と予後を検討した. 【対象と方法】1992年2月から2000年4月までに当院で切除された術前ICGR15値30%以上のHCC12例(A群)とICGR15値30%未満の68例(B群)を対象に検討した. 【結果】両群間で年齢, 性別に差はなかった. 臨床病期はA群で有意に不良であった. 腫瘍個数, 主腫瘍径, Stageには両群で差はなかった. 手術術式ではA群で有意に小範囲切除が多かったが, 手術時間, 出血量, 輸血の有無に差はなかった. 術後の合併症(高ビリルビン血症, 腹水, 感染症など)の発生頻度も両群間で差はなかった. 在院死, 絶対的非治癒切除を除く1, 3, 5年累積生存率は, A群100%, 80%, 20%. B群94.9%, 66.9%, 47.7%であったが有意差はなかった. 【結論】高度肝機能不良症例であっても, 小範囲切除が可能なHCCならば重篤な合併症も少なく, 比較的良好な予後も期待できる.
ISSN:1343-2826