30. grade 5 SAHにネッククリッピング後バルビツレート療法が奏効した一例

症例は53歳女性. 突然の激しい頭痛, 意識消失にて発症. 他院より救急車にて搬送中, 3度目の破裂を来たし, 呼吸停止状態で運ばれた. 初診時, GCS 4, 対光反射両側 消失, 瞳光不同(R<L)を認めた. 緊急挿管後人工呼吸器下, 脳血管撮影を施行, 右内頸動脈後交通動脈分岐部破裂脳動脈瘤の診断下, 同日緊急ネッククリッピングを施行した. 術中術後を通しバルビツレートcomaを維持し, 術後9日間継続とした. 術後1週間ウロキナーゼによる脳槽潅流を併用し, 患者は徐々に改善傾向を示した. 経過中, 脳血管攣縮を来たしたが, CT上明らかなLDAも認めずリハビリにてADL 3まで回...

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Published in:The KITAKANTO Medical Journal Vol. 48; no. 5; p. 392
Main Authors: 島田祥士, 岡田慶一, 大森重宏, 黒沢功
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 1998
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Description
Summary:症例は53歳女性. 突然の激しい頭痛, 意識消失にて発症. 他院より救急車にて搬送中, 3度目の破裂を来たし, 呼吸停止状態で運ばれた. 初診時, GCS 4, 対光反射両側 消失, 瞳光不同(R<L)を認めた. 緊急挿管後人工呼吸器下, 脳血管撮影を施行, 右内頸動脈後交通動脈分岐部破裂脳動脈瘤の診断下, 同日緊急ネッククリッピングを施行した. 術中術後を通しバルビツレートcomaを維持し, 術後9日間継続とした. 術後1週間ウロキナーゼによる脳槽潅流を併用し, 患者は徐々に改善傾向を示した. 経過中, 脳血管攣縮を来たしたが, CT上明らかなLDAも認めずリハビリにてADL 3まで回復した. 術後1か月目に正常圧水頭症を合併し, 5月2日脳室復腔短絡術を施行. 術後意識レベルもほぼ正常に復し, ADL 3の状態でリハビリ目的にて他院転院となった. grade 5のSAHに関しても, 超急性期にバルビツレート療法等の適切な集中治療がなされたならば, 手術によって救命可能な例も存在する. 当症例はその1例と思われた.
ISSN:1343-2826