4. 低尿酸血症症例に見られた睡眠時無呼吸症候群の臨床的検討-低ヒポキサンチン血症の病態への関与の可能性

症例は49歳男性. 徐々に進行する頸部から前胸部の重苦しさを主訴に当院受診した. 家族歴, 既往歴に特記事項なし. BMI29.7と肥満を認めるも, 他の理学的所見に特記事項なし. 胸部X線, 心電図, 肺機能とも異常なく, 血液ガス検査で軽度低酸素血症を認めたため, Pickwick症候群を疑い, sleep apnea monitor system(AMCO)を用いて夜間睡眠をmonitoringした. 本システムは前額部にてSpO2を, 鼻口部にてair flowを, 腹部にて呼吸努力をmonitorできるため, 睡眠時無呼吸の有無, 及びそのパターンを解折する上で簡便かつ有用である....

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 47; no. 6; p. 488
Main Authors: 清水雄至, 長澤亨, 上原豊, 三輪好宏, 小内亨, 根本俊和
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 1997
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Summary:症例は49歳男性. 徐々に進行する頸部から前胸部の重苦しさを主訴に当院受診した. 家族歴, 既往歴に特記事項なし. BMI29.7と肥満を認めるも, 他の理学的所見に特記事項なし. 胸部X線, 心電図, 肺機能とも異常なく, 血液ガス検査で軽度低酸素血症を認めたため, Pickwick症候群を疑い, sleep apnea monitor system(AMCO)を用いて夜間睡眠をmonitoringした. 本システムは前額部にてSpO2を, 鼻口部にてair flowを, 腹部にて呼吸努力をmonitorできるため, 睡眠時無呼吸の有無, 及びそのパターンを解折する上で簡便かつ有用である. 終夜呼吸を分折したところ, 混合型睡眠時無呼吸症候群が確認され, sleep apnea indexはobstructive 27, central 8, mixed 5であった. 本症例では, sleep apnea以外にも, 以下の特徴的所見が得られた. (1), RBC635×10 4/mm3と多血症を認めたが, MCV, MCHとも低値を示しており, 小球性, 低色素性パターンを呈した. しかしながら, Fe, UIBC値は正常で, フェリチン値は高値を示していた. 骨髄像では, M/E比の上昇, 赤血球大小不同が見られた. (2), 75gOGTTでは, glucose負荷後30分より150分後まで血糖値は200mg/dl以上と, 耐糖能異常が認められた. インスリン値は負荷前より異常高値を示しており, 負荷後さらに増加した. 本症例では, 血中尿酸値が異常低値を示し, 腎排泄亢進型であった. 興味あることに, 尿酸の前駆物質であるキサンチンは正常であったが, ヒポキサンチンが低値を示していた. 以上の病態を一元的に説明するのは困難で, プリン代謝異常が病因に関与している可能性が示唆された.
ISSN:1343-2826