P-74)IkBキナーゼaおよびb遺伝子(IKKA,IKKB)の遺伝子多型と成人女性補正橈骨骨密度値との相関

目的:炎症性サイトカインを介したNF-kB活性化径路に関わる分子群の遺伝子多型は骨粗鬆症の遺伝的素因を規定する重要な候補因子である. 本研究では, 本径路制御因子の主な遺伝子多型のデータベース探索を行い, 一般成人女性集団における補正骨密度値との相関解析から遺伝学的に有意と見なされる遺伝子多型の同定を試みた. 方法:候補遺伝子として39遺伝子を選び, 公的データベース(dbSNPおよびJSNP)にアミノ酸置換を伴う一塩基多型(SNP)を同定できた20遺伝子42-SNPについて検討した. まず24検体における多型頻度解析を行い, 24検体48染色体上で3%以上に同定された多型について, われわれ...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; pp. 487 - 488
Main Authors: 須藤悦宏, 江面陽一, 中島敏晶, 梶田満子, 小平美奈, 河越美保, 江見充
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2004
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Description
Summary:目的:炎症性サイトカインを介したNF-kB活性化径路に関わる分子群の遺伝子多型は骨粗鬆症の遺伝的素因を規定する重要な候補因子である. 本研究では, 本径路制御因子の主な遺伝子多型のデータベース探索を行い, 一般成人女性集団における補正骨密度値との相関解析から遺伝学的に有意と見なされる遺伝子多型の同定を試みた. 方法:候補遺伝子として39遺伝子を選び, 公的データベース(dbSNPおよびJSNP)にアミノ酸置換を伴う一塩基多型(SNP)を同定できた20遺伝子42-SNPについて検討した. まず24検体における多型頻度解析を行い, 24検体48染色体上で3%以上に同定された多型について, われわれが従来から用いてきた地域検診受診者から抽出した384例のDNAを用いてInvader法またはTaqMan法, 直接シーケンス法で解析した. 数値化した遺伝子型と年齢および肥満指数で補正した橈骨骨密度値との相関解析を分散分析および直線回帰分析により行い, 有意な相関を示したSNPについては重回帰分析で複合的関与を検討した. 結果, 考察:検討した20遺伝子42-SNPのうち3%以上の多型頻度を確認できた13遺伝子22-SNPについて相関解析を行い, 有意な相関を示すSNPとしてIKKA-V268I(r=0.11)およびIKKB-R526Q(r=0.11)を同定した. IkBキナーゼa(IKKA)およびb(IKKB)はNF-kB活性化径路の要となる最終段階で働くキナーゼ複合体の活性サブユニットであり, 二つのSNPはキナーゼドメインおよびロイシンジッパードメイン内に位置していた. 重回帰分析の結果は, 分子機構から推定された遺伝学的相互作用についても支持を与えていた(p=0.004).
ISSN:1345-4676