P-56)ケトアシドーシスにより発症し出産後甲状腺中毒症に併発した劇症1型糖尿病の1例
劇症1型糖尿病は, 1型糖尿病のうち特に激烈な発症様式でケトアシドーシスに陥り, 診断の遅れが不幸な転帰を招く重症疾患である. 今回われわれは出産後甲状腺中毒症に劇症1型糖尿病を併発した症例を経験したので報告する. 症例は43歳女性. 平成4年の三女出産後に皮膚温の上昇を自覚していたが放置. 平成16年6月3日朝食後より悪心, 嘔吐を繰り返し, 翌朝, 意識不明の状態で当院救命救急センターへ搬送された. 入室時, 意識障害(JCS:I-30)を認め, 血液ガス分析にて代謝性アシドーシス, 血糖値781mg/dlと高値, 尿中ケトン体強陽性より糖尿病性ケトアシドーシスと診断. 輸液, 持続インス...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; p. 482 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
2004
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Summary: | 劇症1型糖尿病は, 1型糖尿病のうち特に激烈な発症様式でケトアシドーシスに陥り, 診断の遅れが不幸な転帰を招く重症疾患である. 今回われわれは出産後甲状腺中毒症に劇症1型糖尿病を併発した症例を経験したので報告する. 症例は43歳女性. 平成4年の三女出産後に皮膚温の上昇を自覚していたが放置. 平成16年6月3日朝食後より悪心, 嘔吐を繰り返し, 翌朝, 意識不明の状態で当院救命救急センターへ搬送された. 入室時, 意識障害(JCS:I-30)を認め, 血液ガス分析にて代謝性アシドーシス, 血糖値781mg/dlと高値, 尿中ケトン体強陽性より糖尿病性ケトアシドーシスと診断. 輸液, 持続インスリン療法を開始し入院3日目には意識状態は改善し, 内科転科となった. 尿中CPR測定限度以下と著明なインスリン枯渇状態を認める一方HbA1cは4.5%と正常, 膵島関連抗体は陰性であった. また, アミラーゼ等の膵外分泌酵素, CA19-9の上昇を認めたが, DUPAN-2は陰性, 腹部CTにて膵臓に有意所見を認めなかったことから劇症1型糖尿病と診断. さらにFT3, FT4高値, TSH測定限度以下, 発熱, 頻脈, 発汗, 下痢, 精神不安を伴うことより, 甲状腺クリーゼの合併と判断した. 今回の病態として, 潜在性自己免疫性甲状腺炎が出産後に増悪し永続性甲状腺中毒症の状態から, 糖尿病発症を契機に甲状腺クリーゼを発症したと考えられた. |
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ISSN: | 1345-4676 |