5)乳癌に対するHercep Test:自験例の解析結果を中心に

目的:Hercep Test(以下HT)は, 進行性乳癌に対する治療薬トラスツズマブの適応症例を選択するための免疫組織学的スクリーニング法である. 今回, 当科での実施した染色結果を, 同時に行なったホルモンレセプター(以下HR)の免疫染色結果との関連性なども含め報告する. 対象:当院外科で切除された乳癌症例18例(41~80歳;平均55歳) 方法:乳癌の新鮮組織から腫瘍最大割面を切り出し, 約24時間固定後, 型の如くパラフィン標本を作成. ダコ社HTキットを用いて染色し, 基準に則り染色強度を判定した. また, 連続切片でHR(ER, PgR)の免疫染色を行い比較検討した. 結果:HTの染...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 4; p. 397
Main Authors: 三枝順子, 清水秀樹, 赤坂久美, 松沢こずえ, 小黒辰夫, 新井悟, 森修, 大秋美治, 京野昭二, 田中宣威
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2002
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Description
Summary:目的:Hercep Test(以下HT)は, 進行性乳癌に対する治療薬トラスツズマブの適応症例を選択するための免疫組織学的スクリーニング法である. 今回, 当科での実施した染色結果を, 同時に行なったホルモンレセプター(以下HR)の免疫染色結果との関連性なども含め報告する. 対象:当院外科で切除された乳癌症例18例(41~80歳;平均55歳) 方法:乳癌の新鮮組織から腫瘍最大割面を切り出し, 約24時間固定後, 型の如くパラフィン標本を作成. ダコ社HTキットを用いて染色し, 基準に則り染色強度を判定した. また, 連続切片でHR(ER, PgR)の免疫染色を行い比較検討した. 結果:HTの染色性は0:1+:2+:3+が各々5:5:3:5(例)であった. (陽性率:8/18:44. 3%)腫瘍は導管内進展部により強い陽性像を認めたが, 判定の対象となる間質浸潤部では同一腫瘍内でも部位により陽性強度に差異を認めた. HRとの関連では, ERあるいはPgR陽性(2+以上)の11例中HT陽性は2例であった. 考察:自験例のHT陽性率(2, 3+)は44.3%と通常の報告よりやや高いが, 未だ症例数が少なく, 病期の進んだ例が多いことが影響していると考えられる. 一方, 同一腫瘍内でも, 部位により染色強度が不均一であり, 細胞診, 針生検検体への応用には更に検討を要すると思われる. HTとHRの陽性部には逆相関の関係が示唆され, HR染色結果がホン療法抵抗性など予後推定因子の一つになると考えられる.
ISSN:1345-4676