急性心筋梗塞における加算平均心電図QRS初期部電位の解析とその意義

体表面加算平均心電図のQRS終末部に記録される心室遅延電位(late potential:LP)が, 心内で記録されるdelayed potential, fragmented activityなどの微小電位を反映していること, またそれが心筋局所における伝導の不均一な組織の存在を示し, リエントリー性不整脈の発生基盤となることが報告されている1~13). 一方, 致死性不整脈を伴う陳旧性心筋梗塞例におけるLPの陽性率を調べたところ, 下壁梗塞例に比べて前壁梗塞例で低いことから, 異常組織の部位によっては心電図に反映されにくいと考えられている. さらにリエントリーが起る際, 興奮伝播の不均一性...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 63; no. 1; pp. 31 - 38
Main Authors: 金應文, 加藤貴雄, 早川弘一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 1996
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:体表面加算平均心電図のQRS終末部に記録される心室遅延電位(late potential:LP)が, 心内で記録されるdelayed potential, fragmented activityなどの微小電位を反映していること, またそれが心筋局所における伝導の不均一な組織の存在を示し, リエントリー性不整脈の発生基盤となることが報告されている1~13). 一方, 致死性不整脈を伴う陳旧性心筋梗塞例におけるLPの陽性率を調べたところ, 下壁梗塞例に比べて前壁梗塞例で低いことから, 異常組織の部位によっては心電図に反映されにくいと考えられている. さらにリエントリーが起る際, 興奮伝播の不均一性や伝導遅延が必ずしもすべての正常心筋の興奮が終了した後に存在しなけれぼならないわけではなく, 心室の興奮伝導時間内であればどこにあってもよいはずである. そう考えると, 局所の伝導遅延が心室興奮の早期にあれば, QRS初期部の立ち上がりの遅れとして, LPと同様に分離同定しうる可能性がある14). 本研究では, この加算平均心電図QRS初期部電位(initial potential:IP)に注目し, 梗塞部位や心室頻拍の有無による違いを検討することにより, 虚血性心疾患におけるこれらの電位計測の臨床的意義について考案することを目的とした.
ISSN:1345-4676