口腔内黒色色素産生性Bacteroidesが有するCapsuleの抗食菌性の検討

歯周疾患が進行すると歯肉縁下歯垢において嫌気性グラム陰性菌が著しく増大し, そのうち優位を占めるのは黒色色素産生性Bacteroidesに属することが示されている. われわれはこれらの菌の病原性因子を種々検討し, 歯周疾患との関連性を追求している. 電顕的に形態を観察し, cell wallの外側が厚いfiber状構造物に覆われているfirous typeと, 薄い無構造物に覆われているamorphous typeの2種類の莢膜を保有することを知った. B. melaninogenicus ss. intermediusはfibrous type莢膜を, B. gingivalisはamorp...

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Published in:昭和歯学会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 100 - 101
Main Authors: 山本綾子, 高橋光良, 江藤由美子, 鷹森健志郎, 立川哲彦
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 昭和大学・昭和歯学会 1982
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Description
Summary:歯周疾患が進行すると歯肉縁下歯垢において嫌気性グラム陰性菌が著しく増大し, そのうち優位を占めるのは黒色色素産生性Bacteroidesに属することが示されている. われわれはこれらの菌の病原性因子を種々検討し, 歯周疾患との関連性を追求している. 電顕的に形態を観察し, cell wallの外側が厚いfiber状構造物に覆われているfirous typeと, 薄い無構造物に覆われているamorphous typeの2種類の莢膜を保有することを知った. B. melaninogenicus ss. intermediusはfibrous type莢膜を, B. gingivalisはamorphous type莢膜, そしてB. melaninogenicus ss. intermediusは両typeの莢膜を有することを知った. これら両typeの莢膜が細菌の一般的な莢膜と同様食細胞の貪食作用に低抗性を有するかを検討した. 供試菌はfibrous typeとしてss. ntermedius6株およびss. melaninogenicus4株, amorphous typeとしてss. intermedius 3株ならびにB. gingivalis3株, 計16株を用いた. おのおのの16時間液体培養菌を, 1ml当り1x10^8 個に懸濁した菌液をマウス腹腔内に注入し, 1, 3および5時間後に開腹し, 腹腔液を集め, 洗浄後スライドグラスに塗抹, 染色した. 次に食菌しているPMNの%および100個のPMN細胞内に取り込まれている菌数を顕微鏡下で計測した. Fibrous株の場合いずれの時間後においても同程度で平均56%のPMNが菌を取り込み, その総歯数は平均198個であった. 一方amorphous株の場合, 平均99%のPMNが総歯数1,343個の菌を食菌した. 次にPMNに取り込まれた総菌数のうちの生菌数を求めた. 3時間後に集めた1×10^7 個のPMNを浸透圧ショックで破壊後遠沈によって得た上清中の生菌数を血液平板を用いてCFUで求めた. PMNによって食菌された菌数はamorphous typeのほうが10倍高いが生菌数はいずれも低く総菌数に対する生菌数の比率は, fibrousとamorphous typeとの間には大きな差を認めなかった. しかしamorphous typeであるss. intermediusとB. gingivalis株を比較すると後者のほうが生存菌数が100倍高かった. 同じsubspeciesに属し, 莢膜typeの異たるss. intermedius株を比較すると, やはりamorphous typeのほうが食菌されやすいが, 生存の比率はfibrous株のほうが高いことを知った.
ISSN:0285-922X