頭部外傷後の企図振戦

重症頭部外傷生存例において, 慢性期に企図振戦をきたすことがある2, 5, 9-11, 20, 26, 30, 32, 34). 一般に, 企図振戦の責任病巣として歯状核-赤核-視床路の障害が想定されており12, 17, 28, 31), 頭部外傷後企図振戦例においても, その神経症状より中脳が責任病巣であると指摘する報告が多い2, 5, 10, 11, 20, 34). 一方, 近年のCT scanの普及は頭部外傷の研究に大きな発展をもたらし38), これまで病理学的検索が中心であった外傷性脳幹部損傷7, 24, 36)に対しても, 軽微な外力による脳幹部損傷の存在6, 19, 33)など,...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 2; pp. 122 - 127
Main Authors: 岩立康男, 佐伯直勝, 難波宏樹, 小滝勝, 岡信男
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1989
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Summary:重症頭部外傷生存例において, 慢性期に企図振戦をきたすことがある2, 5, 9-11, 20, 26, 30, 32, 34). 一般に, 企図振戦の責任病巣として歯状核-赤核-視床路の障害が想定されており12, 17, 28, 31), 頭部外傷後企図振戦例においても, その神経症状より中脳が責任病巣であると指摘する報告が多い2, 5, 10, 11, 20, 34). 一方, 近年のCT scanの普及は頭部外傷の研究に大きな発展をもたらし38), これまで病理学的検索が中心であった外傷性脳幹部損傷7, 24, 36)に対しても, 軽微な外力による脳幹部損傷の存在6, 19, 33)など, 新たな知見を与えつつある. しかし, 頭部外傷後企図振戦例のCT上の特徴を検討した報告は少なく5, 26), 頭部外傷後のどのような病変が企図振戦をもたらすのかという点は, いまだ十分に解明されていない. 我々は, 8例の頭部外傷後企図振戦を経験し, その臨床的特徴およびCT所見を検討したので報告する. 対象 振戦とは, 平山12)によれば“協同筋と拮抗筋の交互反復性の収縮によって起こる一平面内での律動的運動”と定義され, 我々もこれを基準とした.
ISSN:0470-8105