血栓化脳動静脈奇形の1例

完全に血栓化した脳動静脈奇形の1例を報告した. 症例は15歳の男性で, 歩行障害にて発症した. 入院時意識清明. 眼底静脈怒張, 右片麻痺, 右知覚障害がみられた. CTにて左視床から頭頂部にかけてspotty low densityを伴った不規則なhigh density areaがみられ, heterogeneousにenhanceされた. 脳血管撮影ではmass sign以外異常所見はみられなかった. 以上より, 一部石灰化を伴うhypovascularな良性神経膠腫が考えられ, 左頭頂後頭開頭にてpiece by pieceに約30gの腫瘤を摘出した. 腫瘤は暗赤色を呈しており, 可動...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 59
Main Authors: 陳茂楠, 志村俊郎, 喜多村孝幸, 松本正博, 中沢省三
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:完全に血栓化した脳動静脈奇形の1例を報告した. 症例は15歳の男性で, 歩行障害にて発症した. 入院時意識清明. 眼底静脈怒張, 右片麻痺, 右知覚障害がみられた. CTにて左視床から頭頂部にかけてspotty low densityを伴った不規則なhigh density areaがみられ, heterogeneousにenhanceされた. 脳血管撮影ではmass sign以外異常所見はみられなかった. 以上より, 一部石灰化を伴うhypovascularな良性神経膠腫が考えられ, 左頭頂後頭開頭にてpiece by pieceに約30gの腫瘤を摘出した. 腫瘤は暗赤色を呈しており, 可動性に乏しく周囲の脳組織は黄変していた. 術後右同名半盲, 軽度失語症, 右片麻痺の増強がみられたが, 症状は軽快し, 現在外来通院している. 病理組織学的検索では新旧の器質化した血栓を有する動脈とも静脈ともつかない異常血管の集合がみられ, 血栓化した脳動静脈奇形と診断された.
ISSN:0470-8105