鞍上進展を呈したトルコ鞍内クモ膜嚢腫の1例

症例は54才女性で, vertical oscillopsiaとtinnitusを訴え, 神経学的検査で両側視神経萎縮, 両耳側半盲および両側vertical pendular nystagmusを認めた. レ線学的検査でトルコ鞍のballooning, トルコ鞍内・上, および左前頭葉内の低吸収域を認めた. Metrizamide enhanced CTでこれらの低吸収域とクモ膜下腔との交通はみられなかった. 開頭術により両視神経間でcystの穿刺とwallの部分切除を行った. トルコ鞍内はemptyであった. 切除標本はクモ膜と同様の構造を示した. Cyst内容液は水様透明で蛋白が高かった...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; pp. 195 - 196
Main Authors: 湯浅洋, 本木下崇, 大山満, 後藤正道, 時任純孝
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1982
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Description
Summary:症例は54才女性で, vertical oscillopsiaとtinnitusを訴え, 神経学的検査で両側視神経萎縮, 両耳側半盲および両側vertical pendular nystagmusを認めた. レ線学的検査でトルコ鞍のballooning, トルコ鞍内・上, および左前頭葉内の低吸収域を認めた. Metrizamide enhanced CTでこれらの低吸収域とクモ膜下腔との交通はみられなかった. 開頭術により両視神経間でcystの穿刺とwallの部分切除を行った. トルコ鞍内はemptyであった. 切除標本はクモ膜と同様の構造を示した. Cyst内容液は水様透明で蛋白が高かった. 術後, 視力および視野の改善, nystagmusのamplitudeの減少を認めた. Tinnitusは変わらなかった. トルコ鞍上および左前頭葉内の低吸収域の大きさが縮小していることより, これらの間には交通があると考えられた.
ISSN:0470-8105