脳幹部, 特に中脳付近に出血のみられた外傷例について

我々は, CTを行った頭部外傷203例の中から, 脳幹部周辺に出血の認められた9例を選び出し, それを3つのグループに分類し臨床所見とともに検討を行った. グループIの上部脳幹背外側部に限局した出血像を有した特徴的な4例は, Adamsらの剖検例と位置が酷似しその相関が推測された. グループIIのクモ膜下出血様の所見を呈した2例は, いずれも予後は良好で必ずしも脳幹損傷を伴うものではないと考えられた. グループIIIの出血が多発し脳槽の描出が不明瞭な3例は, その臨床所見からも脳幹損傷の存在が推測されたが, 解剖所見では肉眼的には病変が認められず組織学的検索が必要と思われた. 今後はhigh...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 115
Main Authors: 鎮目研吾, 山田祐司, 古屋好美, 篠原利男, 石川尚之, 外山香澄
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1982
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:我々は, CTを行った頭部外傷203例の中から, 脳幹部周辺に出血の認められた9例を選び出し, それを3つのグループに分類し臨床所見とともに検討を行った. グループIの上部脳幹背外側部に限局した出血像を有した特徴的な4例は, Adamsらの剖検例と位置が酷似しその相関が推測された. グループIIのクモ膜下出血様の所見を呈した2例は, いずれも予後は良好で必ずしも脳幹損傷を伴うものではないと考えられた. グループIIIの出血が多発し脳槽の描出が不明瞭な3例は, その臨床所見からも脳幹損傷の存在が推測されたが, 解剖所見では肉眼的には病変が認められず組織学的検索が必要と思われた. 今後はhigh resolutionのCTやエンハンスを行うことによって, より高率に脳幹部の病変がとらえられるようになるだろうと思われる.
ISSN:0470-8105