全硬膜髄膜腫の1例

髄膜腫は, 一般にはっきりした境界を持った球状または半球状の結節性腫瘍であるが, 今回我々は硬膜全体が著明に肥厚を呈した髄膜腫の1例を経験した. 〈症例〉49才男性. 病歴:1958年右眼窩内腫瘍にて眼球摘出. 組織学的所見は不明. 1961年左視力障害出現. 1975年頃より頭痛, 視野狭窄, 眼球突出が現われ, 1981年に嘔吐, 性格変化が出現したため当院に入院した. Craniogram, angiography, CT scanなどで特異な所見を呈した. しかし, 入院後10日目に突然心停止と呼吸停止で不幸な転期をとった. 解剖所見:硬膜は灰白色から淡黄色で, 全体に肥厚し特に静脈洞...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 98
Main Authors: 篠原利男, 鎮目研吾, 古屋好美, 石川尚之, 外山香澄
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1982
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Description
Summary:髄膜腫は, 一般にはっきりした境界を持った球状または半球状の結節性腫瘍であるが, 今回我々は硬膜全体が著明に肥厚を呈した髄膜腫の1例を経験した. 〈症例〉49才男性. 病歴:1958年右眼窩内腫瘍にて眼球摘出. 組織学的所見は不明. 1961年左視力障害出現. 1975年頃より頭痛, 視野狭窄, 眼球突出が現われ, 1981年に嘔吐, 性格変化が出現したため当院に入院した. Craniogram, angiography, CT scanなどで特異な所見を呈した. しかし, 入院後10日目に突然心停止と呼吸停止で不幸な転期をとった. 解剖所見:硬膜は灰白色から淡黄色で, 全体に肥厚し特に静脈洞に沿って著明である. 組織学的所見からはmeningiomaで頭蓋内硬膜全体の肥厚した髄膜腫と診断し, 若干の文献的考察を加えて報告した.
ISSN:0470-8105