乳幼児外傷性interhemispheric subdural hematoma
大脳縦裂部硬膜下血腫は成人例でも文献上14例を数えるにすぎないが, 乳幼児例ではきわめてまれである. 我々は頭部外傷7日後に, 痙攣重積, 左半身麻痺, 嘔吐で発症した8ヵ月男児の大脳縦裂部硬膜下血腫の1例を経験した. 臨床像および血腫発生機序は成人と異なると考えるが, 当症例では前側頭部の中等度打撲で発症し, 症状発現まで7日を要し, 臨床所見上意識レベルの低下は比較的軽く, 血腫対側の下肢により強い片麻痺を特徴とした. 診断はCT scanで大脳鎌にbroad base, 対側でconvexityを描く所見で容易に可能であった. 当症例では保存的加療を施行したため, 出血源の確認は不可であ...
Saved in:
Published in: | Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 53 |
---|---|
Main Authors: | , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本脳神経外科学会
1982
|
Online Access: | Get full text |
Tags: |
Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
|
Summary: | 大脳縦裂部硬膜下血腫は成人例でも文献上14例を数えるにすぎないが, 乳幼児例ではきわめてまれである. 我々は頭部外傷7日後に, 痙攣重積, 左半身麻痺, 嘔吐で発症した8ヵ月男児の大脳縦裂部硬膜下血腫の1例を経験した. 臨床像および血腫発生機序は成人と異なると考えるが, 当症例では前側頭部の中等度打撲で発症し, 症状発現まで7日を要し, 臨床所見上意識レベルの低下は比較的軽く, 血腫対側の下肢により強い片麻痺を特徴とした. 診断はCT scanで大脳鎌にbroad base, 対側でconvexityを描く所見で容易に可能であった. 当症例では保存的加療を施行したため, 出血源の確認は不可であったが, bridging veinの破綻のみでは納得できなかった. また入院当初よりdiffuse low densityを呈し, 経時的に脳萎縮の進行を認めたことから, 乳幼児頭蓋内疾患の2次的変化に対する加療の難しさを痛感し, 症例報告とともに若干の考察を試みた. |
---|---|
ISSN: | 0470-8105 |