転移性脊髄硬膜外腫瘍による脊髄循環障害

転移性脊髄硬膜外腫瘍は, 悪性腫瘍患者の5~10%に発生する2)3)15)重篤な神経系合併症である. これまで臨床的に種々の試みがなされてきたが4)17), いまだ理想的な治療法が確立されるに至っていない. しかも近年, 診断および治療法の進歩により, 悪性腫瘍患者の生存期間が延長するに従い, この合併症の頻度も増加しつつある14)17). 我々はこの病態を解明し, 治療法を探る目的でラットあるいは家兎を用いて, 症候学的にもまた病理学的にも臨床に類似した脊髄硬膜外腫瘍の実験モデルを作成し, 研究を進めてきた. その結果, 神経症状の発現に脊髄浮腫が強く関与すること, 脊髄浮腫は, おもに腫瘍...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 21; no. 12; pp. 1201 - 1207
Main Authors: 加藤天美, 山田和雄, 生塩之敬, 早川徹, 最上平太郎, 池田宏也
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1981
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Description
Summary:転移性脊髄硬膜外腫瘍は, 悪性腫瘍患者の5~10%に発生する2)3)15)重篤な神経系合併症である. これまで臨床的に種々の試みがなされてきたが4)17), いまだ理想的な治療法が確立されるに至っていない. しかも近年, 診断および治療法の進歩により, 悪性腫瘍患者の生存期間が延長するに従い, この合併症の頻度も増加しつつある14)17). 我々はこの病態を解明し, 治療法を探る目的でラットあるいは家兎を用いて, 症候学的にもまた病理学的にも臨床に類似した脊髄硬膜外腫瘍の実験モデルを作成し, 研究を進めてきた. その結果, 神経症状の発現に脊髄浮腫が強く関与すること, 脊髄浮腫は, おもに腫瘍の椎骨静脈叢浸潤による静脈うっ滞の結果生ずるであろう血管原性浮腫であることなどを明らかにした8)-10)22)23). 今回はこの病態をさらに明確にするためラット実験モデルを用い, 水素クリアランス法1)11)(以下HC法)ならびに^^14 C-antipyrine autoradiography法11)16)18)(以下antipyrine法)により, 脊髄局所血流量(以下rSCBF)を測定するとともに, その炭酸ガス反応性(以下CO_2 -R)を検索し, これらが病態の進行といかに相関するか検討を加えた.
ISSN:0470-8105