急性期破裂脳動脈瘤に対するintentional delayed operationの経験
破裂後急性期動脈瘤患者の治療方針については, 早期手術の是非, intentional delayed operationの点等が論じられてすでに7, 8年を経過しているが, なお結論を得ていない. この議論が最終的に噛み合わぬのは, 施設による母集団の差, 出血初期の患者のうけ入れ態勢の差, 患者のselection等の問題があげられている. 出血初期の病態, 特にspasmの成因, 治療法がいまだ解明されていない現状ではあっても, 現在本症に罹患した患者に対するよりbetterな治療法の検索は実地脳神経外科医に課せられた重要な問題である. 今回我々は, 昭和51年9月末から昭和52年3月ま...
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Published in: | Neurologia medico-chirurgica Vol. 17; no. suppl; p. 26 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本脳神経外科学会
1977
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Summary: | 破裂後急性期動脈瘤患者の治療方針については, 早期手術の是非, intentional delayed operationの点等が論じられてすでに7, 8年を経過しているが, なお結論を得ていない. この議論が最終的に噛み合わぬのは, 施設による母集団の差, 出血初期の患者のうけ入れ態勢の差, 患者のselection等の問題があげられている. 出血初期の病態, 特にspasmの成因, 治療法がいまだ解明されていない現状ではあっても, 現在本症に罹患した患者に対するよりbetterな治療法の検索は実地脳神経外科医に課せられた重要な問題である. 今回我々は, 昭和51年9月末から昭和52年3月までの約半年間にわたりその間のgrade3, 4(Botterell附帯条件なし)の急性期症例21例につき, antifibrinolytic agent投与を主体とするintenticonal dclayed opcrationを行い, それ以前の5年間, ほぼ同じ搬送態勢およびうけ入れ態勢下でのemergent operation症例(grade3, 4, 76症例)と対比しての経過, 特にspasm発生率等を比較, また待機中の再出血率を検討した. 手術待機群21例中再出血3例(14.3%), spasmによる症状悪化9例(42.9%)で結局10例(47.6%)が死亡した. 症状軽快し術後社会復帰しえたのは8例(38.0%)である. これに対し早期手術(grade3, 4)76例では術後症状軽快47例(61.8%), 術後spasmによる症状悪化18例(23.7%), 死亡14例(18.4%)である. 我々の待機症例では再出血はかなり防げているといえようが, spasm発生は少なくなく, そのための症状悪化, 死亡率が高率であった. 今回の我々の待機群, 早期手術群に関する限り, spasm発生率, 死亡率ともに早期手術群に低率で, 社会復帰も手術群に良好であった. |
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ISSN: | 0470-8105 |