8.深部静脈血栓症を合併した特発性好酸球増多症候群の1例
【症例】30歳男性. 主訴:右腰部から右膝窩部の疼痛. 両側下肢浮腫, 右下肢筋力低下. 現病歴:平成14年5月下旬, 右腰部から右膝窩部にかけて疼痛が出現し, 近医に入院した. 入院時, 白血球15,050/μl, 好酸球2,450/μl, 血小板14万/μlであったが, 6月12日, 好酸球著増(22,400/μl)し, 血小板減少(3.8万/μl)を認めた. 骨髄生検にて好酸球増多症候群と診断され, プレドニゾロン60mg/日より投与開始され, 好酸球数は改善したが, 血小板減少はステロイドに抵抗性を示した. 7月5日精査加療目的に当科入院となった. 入院後経過:MRI所見上, 好酸球性...
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Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 2; pp. 225 - 226 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
01-05-2003
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Summary: | 【症例】30歳男性. 主訴:右腰部から右膝窩部の疼痛. 両側下肢浮腫, 右下肢筋力低下. 現病歴:平成14年5月下旬, 右腰部から右膝窩部にかけて疼痛が出現し, 近医に入院した. 入院時, 白血球15,050/μl, 好酸球2,450/μl, 血小板14万/μlであったが, 6月12日, 好酸球著増(22,400/μl)し, 血小板減少(3.8万/μl)を認めた. 骨髄生検にて好酸球増多症候群と診断され, プレドニゾロン60mg/日より投与開始され, 好酸球数は改善したが, 血小板減少はステロイドに抵抗性を示した. 7月5日精査加療目的に当科入院となった. 入院後経過:MRI所見上, 好酸球性筋膜炎も疑われたが筋生検で炎症性細胞の浸潤は認められず, 否定的と思われた. 造影CTにて腎静脈分岐部から両側膝窩静脈に至る血栓を確認し, 血栓性血小板減少症と診断した. 7月19日よりヘパリンとワーファリン投与を開始し, 一時的下大静脈フィルターを留置し, アスピリン, チクロピジンによる抗血小板療法を併用した. 治療後, 血栓は縮小し血小板数も正常範囲内に増加した. 【考察】特発性好酸球増多症候群に広範な深部静脈血栓症が合併した機序についての詳細は不明であるが, 好酸球顆粒蛋白が血管内皮細胞を傷害し, 血栓形成に働くことを示した実験的報告がなされている, 本症例は特発性好酸球増多症候群が存在し, ECP(eosinophilic cationic protein)の増加により血中トロンボモジュリン上昇に反映される血管壁障害を来たし, 深部静脈血栓症を合併した症例である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1343-2826 |