14.右乳癌術後18年目に左癌性胸水再発をきたした1例

症例は60歳女性. 主訴は嘔気 胸部不快感. 既往歴は, 昭和59年に他院で右乳癌(T1N0M0stage I)に対し胸筋合併乳房切除術を施行されている. 現病歴としては, 平成14年2月頃より嘔気と左側胸部不快感が出現したが, 元来高血圧もあったために本人が心臓の精査を希望し4月4日当院内科を紹介受診した. 精査にて心臓には明らかな異常を認めなかったが, 胸部単純X線にて多量の左胸水を認めたため精査入院となった. 内科入院後, 胸腔ドレナージ術を施行し細胞診でAdenocarcinomaが検出されたが肺に病変はなく, 肺癌関連の腫瘍マーカーであるシフラ及びPRO GRPはほぼ正常範囲内であっ...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 4; p. 432
Main Authors: 瀧澤淳, 小島誠人, 井上克彦, 阿部聡子, 山口真彦
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 01-11-2003
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Summary:症例は60歳女性. 主訴は嘔気 胸部不快感. 既往歴は, 昭和59年に他院で右乳癌(T1N0M0stage I)に対し胸筋合併乳房切除術を施行されている. 現病歴としては, 平成14年2月頃より嘔気と左側胸部不快感が出現したが, 元来高血圧もあったために本人が心臓の精査を希望し4月4日当院内科を紹介受診した. 精査にて心臓には明らかな異常を認めなかったが, 胸部単純X線にて多量の左胸水を認めたため精査入院となった. 内科入院後, 胸腔ドレナージ術を施行し細胞診でAdenocarcinomaが検出されたが肺に病変はなく, 肺癌関連の腫瘍マーカーであるシフラ及びPRO GRPはほぼ正常範囲内であった. またその他の疾患も否定的であったため, 右乳癌術後再発の疑いにて5月23日当科に転科となった. 転科後, 精査にて明らかな他臓器転移は認められなかったが, 乳癌関連の腫瘍マーカーであるNCC-ST439が65U/ml, CA15-3が420U/ml, BCA225が180U/mlと高値を示したため, 右乳癌術後18年目の晩期再発(左癌性胸水)と診断し, 6月5日より全身化学療法としてTXL(80mg/m2 1回/週 3投1休)を開始した. 平成15年4月2日まで11コース施行したところ, 胸水は完全に消失し, 乳癌関連の腫瘍マーカー(CEA, TPA, NCC-ST439, CAl5-3, BCA225, ICTP)も全て正常値を示した. 今回我々は, 右乳癌術後18年目に左癌性胸水再発をきたした1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1343-2826