5.網膜に多発血栓を発症し,HITが疑われた透析患者の一例

【はじめに】ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin-Induced Thrombocytopenia:HIT)はヘパリンの使用中に血小板の活性化が生じ血小板の減少をきたす症候群であり, しばしば動静脈の血栓症を合併する. 【症例】症例は結節性硬化症の31才の女性. 両側腎に血管筋脂肪腫(AML)があり, H8年右腎のAMLが破裂. H14年2月には左腎のAMLが破裂し, 当院泌尿器科入院腎不全のためFUT低分子ヘパリンにて血液透析(HD)の導入となった. 入院中, 血小板減少(5万/μl)がみられた. 3月下旬より近医にて通常ヘパリンでHDを行ったところ, 視力低下が進行. 眼底全体に黄白...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 3; p. 336
Main Authors: 内海英貴, 黒岩卓, 野島美久
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 01-08-2003
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Description
Summary:【はじめに】ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin-Induced Thrombocytopenia:HIT)はヘパリンの使用中に血小板の活性化が生じ血小板の減少をきたす症候群であり, しばしば動静脈の血栓症を合併する. 【症例】症例は結節性硬化症の31才の女性. 両側腎に血管筋脂肪腫(AML)があり, H8年右腎のAMLが破裂. H14年2月には左腎のAMLが破裂し, 当院泌尿器科入院腎不全のためFUT低分子ヘパリンにて血液透析(HD)の導入となった. 入院中, 血小板減少(5万/μl)がみられた. 3月下旬より近医にて通常ヘパリンでHDを行ったところ, 視力低下が進行. 眼底全体に黄白色斑がみられ, 血管内凝固亢進による脈絡膜血管の閉塞が疑われ, またPLT3.0万/μlと低下もありHITと診断アルガトロバンの投与を開始し, 以後のHDはFUTで行い, 視力障害, 血小板数は徐々に回復した. 【考察】血小板減少の原因としてヘパリンの使用は重要であり, HITが疑われる場合には, 少量といえどもヘパリンの使用を中止すべきである.
ISSN:1343-2826