モザイク動物の肝発癌研究への応用
「序文」最近, 発癌過程の研究に, 先天的または人工的に作られた遺伝異常動物を利用する試みが行われている. これらの中には, トランスジェニックマウスや, 先天代謝異常動物などが含まれるが, 我々は最近, モザイク動物を肝発癌実験に用いる研究を進めている. モザイク動物とは, 個体を構成する細胞が, 遺伝的に異なる2種類以上の細胞から構成される動物であり, これらのうちある種のものでは, 2種類の細胞を遺伝マーカーを利用して区別することが可能である. 我々は, このような動物を利用し, 肝の前癌病変と考えられている増生結節の性質について, 1)そのclonalityおよび, 2)プロモーション...
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Published in: | Journal of Toxicologic Pathology Vol. 1; no. 1; pp. 61 - 66 |
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Main Authors: | , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本毒性病理学会
1988
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Summary: | 「序文」最近, 発癌過程の研究に, 先天的または人工的に作られた遺伝異常動物を利用する試みが行われている. これらの中には, トランスジェニックマウスや, 先天代謝異常動物などが含まれるが, 我々は最近, モザイク動物を肝発癌実験に用いる研究を進めている. モザイク動物とは, 個体を構成する細胞が, 遺伝的に異なる2種類以上の細胞から構成される動物であり, これらのうちある種のものでは, 2種類の細胞を遺伝マーカーを利用して区別することが可能である. 我々は, このような動物を利用し, 肝の前癌病変と考えられている増生結節の性質について, 1)そのclonalityおよび, 2)プロモーションと発現形質との関係について検討した. 腫瘍細胞のclonalityは, ヒトの腫瘍でFialkowのグループ1により, X-linked isozyme markerをもとに生化学的に広く研究されており, ほとんどの腫瘍がmonoclonal originであることが示されている. 一方, 動物の腫瘍については, X-linked酵素や集合キメラでのallo-specific membrane antigenなどをマーカーとして, いくつかの腫瘍monoclonalityが証明されている2. |
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ISSN: | 0914-9198 |