身体半側萎縮症と部分てんかんを合併したpachygyriaの1例
身体半側萎縮症と部分てんかんを合併したpachygyriaの1例を報告する.症例は34才,女.小児期より軽い跛行が出現し,左上下肢が右側に比し細く短いのを自覚していた.昭和50年より時々左身体抑制発作が出現.昭和58年2月妊娠中に同発作が頻回となり,突然左姿勢発作が出現し,てんかん重積状態となつたため入院.臨床所見として左身体半側萎縮を認めた.頭部CT,および脳血管撮影において,右Sylvius裂・弁蓋部の形成不全とともに,右prefrontalよりprecentral regionにかけて皮質・脳回の肥厚を認め,頭部dynamic CTにて肥厚部が皮質と同様の時間-吸収値曲線を示すことから他...
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Published in: | 日本内科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 1334 - 1341 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本内科学会
10-09-1984
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Summary: | 身体半側萎縮症と部分てんかんを合併したpachygyriaの1例を報告する.症例は34才,女.小児期より軽い跛行が出現し,左上下肢が右側に比し細く短いのを自覚していた.昭和50年より時々左身体抑制発作が出現.昭和58年2月妊娠中に同発作が頻回となり,突然左姿勢発作が出現し,てんかん重積状態となつたため入院.臨床所見として左身体半側萎縮を認めた.頭部CT,および脳血管撮影において,右Sylvius裂・弁蓋部の形成不全とともに,右prefrontalよりprecentral regionにかけて皮質・脳回の肥厚を認め,頭部dynamic CTにて肥厚部が皮質と同様の時間-吸収値曲線を示すことから他の健常な皮質と同質と推測し,同部位に限局したpachygyriaと診断した.また,身体の萎縮側で皮膚温低下.発汗低下.指尖容積脈波上中枢性の細動脈反応の低下があり,筋生検ではtype II atrophyを認めた.従来, pachygyriaの生前診断は困難とされていたが,近年CT技法の発達に伴い数例の報告がみられるようになり,本症例の如く頭部dynamic CTをも用いることで診断は可能となつた.合併症については,部分てんかんの責任病巣はpachygyriaの部位と一致した.本症例のtype II atrophyはpachygyriaによる錐体路起始部の障害と関連があると考えられ,一方,自律神経障害を介しpachygyriaが半側萎縮症の成因となつた可能性が示唆された.本症は,形態的な奇形であるpachygyriaに対応する機能障害を呈した貴重な症例と考えられる. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.73.1334 |