難治性腹水におけるデンバーシャントの検討

目的:難治性腹水に対しDenverシャントを挿入した症例を臨床的に検討した. 対象と方法:肝硬変症例19例を対象. C型肝硬変13例, B型3例, NBNC3例で, 肝癌合併例は13例. 性別は男性17例, 女性2例, 平均年齢62. 5歳(49歳~81歳)であった. 術後凝固障害の予防に抗凝固剤を全症例に投与した. 各症例について患者背景, 術前後での臨床所見, 血液生化学的検査, 凝固能および合併症, 予後について検討した. 結果:1)臨床経過;術後全例で腹満感の消失が得られた. 腹囲は有意に減少し, 同様に有意な尿量の増加が認められた. BUN, 血清Crは有意に減少し, 腎機能の改善が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 592
Main Authors: 真々田裕宏, 田尻孝, 秋丸琥甫, 吉田寛, 谷合信彦, 川野陽一, 水口義昭, 清水哲也, 高橋翼
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 15-12-2003
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:目的:難治性腹水に対しDenverシャントを挿入した症例を臨床的に検討した. 対象と方法:肝硬変症例19例を対象. C型肝硬変13例, B型3例, NBNC3例で, 肝癌合併例は13例. 性別は男性17例, 女性2例, 平均年齢62. 5歳(49歳~81歳)であった. 術後凝固障害の予防に抗凝固剤を全症例に投与した. 各症例について患者背景, 術前後での臨床所見, 血液生化学的検査, 凝固能および合併症, 予後について検討した. 結果:1)臨床経過;術後全例で腹満感の消失が得られた. 腹囲は有意に減少し, 同様に有意な尿量の増加が認められた. BUN, 血清Crは有意に減少し, 腎機能の改善が得られた. 血清aIb値, T-bil値等からみた術後肝機能障害の悪化および脳症出現は認められなかった. 血小板数, PT, HPT, AT-III, 血中FDPの変化では一時的凝固異常を認めたが致死的なものではなかった, 2)合併症:5例にシャント閉塞, 2例に敗血症, 3例に軽度の凝固異常, 2例に消化管出血, 4例に肝癌破裂による腹腔内出血を認めた. 3)経過および転帰:19例中13例は退院となり, 2例は外泊が可能となった. 現在までに19例中13例が死亡した. うち10例は肝癌死を含む肝不全死, 2例は消化管出血による出血死, 1例は他病死であった. 平均生存期間は6. 0ヵ月(1~21ヵ月)であった. 結語:Denverシャントは予後に影響しないものの, 侵襲が比較的少なく, QOLの向上に有用であった.
ISSN:1345-4676