最近の中学・高校生における身体発育と口腔内状態について
思春期の小児における歯列の発育や歯科的問題を明らかにするために, 中学・高校生の身体発育と口腔内状態について調査を行い, その関連についても検討を行った. 対象は東京都内の中・高一貫教育を行っている私立校の生徒で男子529名, 女子222名, 計751名である. 平成9年5月の学校健診結果から, 身長, 体重, 歯の萌出状態, う蝕罹患状態, 歯垢付着状態, 歯肉炎の状態, 咬合状態, 顎関節症症状を調査項目として選び, 学校歯科健診の基準に従って評価した. その結果, 身長と歯年齢の関係では, 男女ともに平均身長の増加がみられる範囲内では身長と歯年齢の関連が明らかだった. また, 歯年齢によ...
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Published in: | 昭和歯学会雑誌 Vol. 19; no. 1; p. 131 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
昭和大学・昭和歯学会
31-03-1999
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Summary: | 思春期の小児における歯列の発育や歯科的問題を明らかにするために, 中学・高校生の身体発育と口腔内状態について調査を行い, その関連についても検討を行った. 対象は東京都内の中・高一貫教育を行っている私立校の生徒で男子529名, 女子222名, 計751名である. 平成9年5月の学校健診結果から, 身長, 体重, 歯の萌出状態, う蝕罹患状態, 歯垢付着状態, 歯肉炎の状態, 咬合状態, 顎関節症症状を調査項目として選び, 学校歯科健診の基準に従って評価した. その結果, 身長と歯年齢の関係では, 男女ともに平均身長の増加がみられる範囲内では身長と歯年齢の関連が明らかだった. また, 歯年齢により口腔内状態に差がみられ, 歯年齢IIIC期において歯垢の付着が高く, 歯肉炎症状のある者が多くみられた. 咬合状態, 顎関節症症状においても, 同様にIIIC期で問題のある者の割合が高くなっていた. さらに, 身長, 体重からローレル指数を算出し, 口腔内状態との関連をみたところ, 歯垢, 歯肉炎, 咬合, 顎関節症症状などとの関連はみられなかったが, 肥満傾向の者にDMF歯数が高くなっていた. 今回の調査で, 中学・高校生の歯の萌出時期は, ある程度個人差もあるが, 身体発育と関連があることが分かり, また, 第2大臼歯の萌出が開始するIIIC期では, 歯垢, 歯肉炎の増加や, 顎関節症症状の増加がみられ, またう蝕も増加傾向がみられ, 口腔内に問題の起こりやすい時期であることが分かった. 今後はこの時期の小児に必要な口腔管理の実際についても考えていきたい. |
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ISSN: | 0285-922X |