Bacteroides oralis Ig 4aの産生する不溶性グルカン(Mutan)分解酵素について
Streptococcus mutansの産生する菌体外多糖, ことに不溶性glucanであるmutanが歯垢形成に大きな役割を果たしていることはよく知られている. したがって歯垢沈着の抑制のためにこれらglucanの分解酵素を用いるという研究が広く行われているが, 必ずしも十分な効果があがっていない. 不溶性glucanがDextranaseでは分解されないこと, さらにα-(1, 3)-glucanaseでも単独では分解されないことは, このglucanすなわちmutanがα-(1, 3)-およびα-(1, 6)-結合の両者を有するpolymerであることによる. われわれは従来このmut...
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Published in: | 昭和歯学会雑誌 Vol. 3; no. 1; pp. 142 - 143 |
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Main Authors: | , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
昭和大学・昭和歯学会
01-09-1983
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Summary: | Streptococcus mutansの産生する菌体外多糖, ことに不溶性glucanであるmutanが歯垢形成に大きな役割を果たしていることはよく知られている. したがって歯垢沈着の抑制のためにこれらglucanの分解酵素を用いるという研究が広く行われているが, 必ずしも十分な効果があがっていない. 不溶性glucanがDextranaseでは分解されないこと, さらにα-(1, 3)-glucanaseでも単独では分解されないことは, このglucanすなわちmutanがα-(1, 3)-およびα-(1, 6)-結合の両者を有するpolymerであることによる. われわれは従来このmutanを分解する酵素すなわちα-(1, 6)-glucanaseとα-(1, 3)-glucanaseの両者を産生する菌としてBacteroides oralisを見いだし, この菌の酵素につき報告してきた. 今回は本菌の産生するα-(1, 3)-glucanaseの精製とその性状について報告した. 0.2% Dextran T-2000(Pharmacia)加 HI-brothで培養したB.oralis Ig 4aの菌体を超音波で破砕し, butanol, acetoneで抽出した粗酵素を, DEAE-cellulose, Phospho-celluloseで分画後, Bio-Gel A 0.5Mでゲル濾過し, 純酵素を得た. 得られた酵素-mutanase-はPAGAで単一のバンドを示し, また酵素活性もこのバンドと一致し, 純標品と考えられた. SDS-PAGEによる分子量, 等電点はそれぞれ80,000 dalton, pH 6.8であった. 至適pHは7.0であった. 基質特異性としてはα-(1, 6), α-(1, 4)結合を有する多糖およびオリゴ糖には全く作用せず, α-(1, 3)結合のみからなるPseudnigeranおよびα-(1, 3)結合を高頻度に有する, 部分Smith分解したmutan, およびあらかじめDextranaseで処理したmutanにはmutanの80~89%の性状を示した. またこのmutanaseはends型の酵素であった. 酵素活性はHg^2+ , Ag^2+ , Cu^2+ , Pb^2+ で強く阻害されたが, NaF, EDTA・2Naでは10^-3 Mであまり阻害されなかった. |
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ISSN: | 0285-922X |