腹腔内に破裂した単発性脾膿瘍の1例

34才,女性.左上腹部痛を主訴に当科入院.腹膜炎所見の他に一般検査で強い炎症所見があり,腹部超音波検査,腹部CT等の画像診断で脾下極の〓胞様病変を認め,ダグラス窩穿刺では膿汁が吸引された.以上より単発性脾膿瘍の腹腔内破裂と診断,摘脾術等を施行した.膿瘍は石灰化を伴う厚さ約5mmの被膜を持ち,膿瘍内よりStaphylococcus epidermidisが同定されたことから,陳旧性脾損傷に感染が生じ,膿瘍を形成したと考えられた.脾膿瘍は本邦では1946年以降自験例を含め28例が報告されている.従来,本症の術前診断は困難であつたが,近年は画像診断の進歩により早期の術前診断と摘脾が可能になり,予後は...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 87 - 92
Main Authors: 両角, 敦郎, 佐野, 主一, 相野田, 隆雄, 宮崎, 吉規, 山本, 安幸, 小林, 一久, 池田, 昌弘, 赤羽, 賢浩, 藤野, 雅之, 鈴木, 宏
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 10-01-1987
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Description
Summary:34才,女性.左上腹部痛を主訴に当科入院.腹膜炎所見の他に一般検査で強い炎症所見があり,腹部超音波検査,腹部CT等の画像診断で脾下極の〓胞様病変を認め,ダグラス窩穿刺では膿汁が吸引された.以上より単発性脾膿瘍の腹腔内破裂と診断,摘脾術等を施行した.膿瘍は石灰化を伴う厚さ約5mmの被膜を持ち,膿瘍内よりStaphylococcus epidermidisが同定されたことから,陳旧性脾損傷に感染が生じ,膿瘍を形成したと考えられた.脾膿瘍は本邦では1946年以降自験例を含め28例が報告されている.従来,本症の術前診断は困難であつたが,近年は画像診断の進歩により早期の術前診断と摘脾が可能になり,予後は著明に改善してきている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.76.87