抗レトロウイルス療法施行前のCD4陽性T細胞数は治療後の免疫再構築を予測する

【背景・目的】 抗レトロウイルス療法を継続中のHIV (human immunodeficiency virus) 感染者の一部では血液中のウイルス量が十分抑制されているにもかかわらず, CD4陽性T細胞の回復が十分でない症例が認められるため, この要因について検討をした. 【対象と方法】 群馬大学医学部附属病院及び関連施設において, 抗HIV療法下で5年以上の長期間にわたってウイルス血症が検出限界以下と良好にコントロールされているHIV感染者46名におけるCD4陽性T細胞数の回復と, 治療開始時の年齢, CD4陽性T細胞数, 治療レジメン, 性別との関係について相関をみた. 【結 果】 CD...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 3; pp. 281 - 286
Main Authors: 内海, 英貴, 小川, 孔幸, 柳沢, 邦雄, 合田, 史, 小倉, 秀充, 馬渡, 桃子, 澤村, 守夫, 野島, 美久
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 2011
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Summary:【背景・目的】 抗レトロウイルス療法を継続中のHIV (human immunodeficiency virus) 感染者の一部では血液中のウイルス量が十分抑制されているにもかかわらず, CD4陽性T細胞の回復が十分でない症例が認められるため, この要因について検討をした. 【対象と方法】 群馬大学医学部附属病院及び関連施設において, 抗HIV療法下で5年以上の長期間にわたってウイルス血症が検出限界以下と良好にコントロールされているHIV感染者46名におけるCD4陽性T細胞数の回復と, 治療開始時の年齢, CD4陽性T細胞数, 治療レジメン, 性別との関係について相関をみた. 【結 果】 CD4陽性T細胞数の回復が不十分なグループ (CD4数<350/μl) は良好なグループ (CD4数≧350/μl) と比較して, 治療開始時のCD4陽性T細胞数が統計学的有意に少ない傾向にあった (28.1 vs 124.9/μl p=0.006) が, 治療開始時の年齢には差を認めなかった (50.7歳 vs 44.2歳 p=0.120). また, 性別や治療薬による差もCD4陽性T細胞回復に影響しなかった. 【結 語】 高度に免疫低下が進行したHIV感染者においては有効な抗レトロウイルス療法がなされたとしても治療開始前のCD4陽性T細胞数の低い症例ではその後の免疫再構築が不十分なことがあり, 早期発見, 早期治療の重要性が示唆された.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.61.281