下眼瞼向き眼振など認められた橋傍正中動脈梗塞 (BAD) の1例

「はじめに」下眼瞼向き眼振 (DBN) は, Arnold-Chiari奇形や多系統萎縮症 (脊髄小脳変性症) などで多く認められるが, その他にも脳血管障害, 多発性硬化症, 傍腫瘍性小脳変性症, alcohol中毒, 薬物 (lithium, phenytoin, carbamazepine, など) など多岐に亘る疾患・中毒例で認められる. DBNの生成機序は未だに不明ながら, 責任病巣としては, 主に前庭小脳病変, 特に小脳片葉/傍片葉の障害と考えられており, 脳幹病変に由来するDBNの臨床報告例は極めて稀である. 今回, ENG上, DBNが認められた橋梗塞BAD (branch a...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 80; no. 6; pp. 540 - 549
Main Authors: 横田, 淳一, 井下, 綾子, 山口, 洋子, 猪股, 敦子
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31-12-2021
日本めまい平衡医学会
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Description
Summary:「はじめに」下眼瞼向き眼振 (DBN) は, Arnold-Chiari奇形や多系統萎縮症 (脊髄小脳変性症) などで多く認められるが, その他にも脳血管障害, 多発性硬化症, 傍腫瘍性小脳変性症, alcohol中毒, 薬物 (lithium, phenytoin, carbamazepine, など) など多岐に亘る疾患・中毒例で認められる. DBNの生成機序は未だに不明ながら, 責任病巣としては, 主に前庭小脳病変, 特に小脳片葉/傍片葉の障害と考えられており, 脳幹病変に由来するDBNの臨床報告例は極めて稀である. 今回, ENG上, DBNが認められた橋梗塞BAD (branch atheromatous disease) 例を経験したが, 文献的に著者が調べ得た限りでは, 橋病変由来のDBN例は今迄に1例報告があるのみであり, DBNの生成機序を考える上でも極めて興味深い症例と考えられる.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.540