前庭神経炎が疑われたのちに中枢性めまいと判明した 3 症例

「はじめに」前庭神経炎は, 通常単発で突発的に発症する急性末梢前庭機能障害に起因するめまい発作を特徴とし, 蝸牛症状やその他の神経症状を呈さない. 聴覚障害がなく定方向性眼振が持続するめまい症例は前庭神経炎を第一に想起するが, 初回診察時に他の神経症状が不明瞭な場合もあり必ずしも末梢性めまいとは限らない. 実際に耳鼻咽喉科外来ではめまいの原因の2.8%~7%が脳血管障害とされ, 大学病院, 市中病院, 診療所と条件は異なれど少なからず中枢性めまいに遭遇する可能性があり注意を要する. 今回は初診時に前庭神経炎を疑われたが最終診断が中枢性めまいの診断となった3症例について報告する. 「対象」202...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 82; no. 3; pp. 201 - 208
Main Authors: 木村, 俊哉, 暁, 久美子, 森田, 勲, 池田, 浩己, 三浦, 誠
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 30-06-2023
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」前庭神経炎は, 通常単発で突発的に発症する急性末梢前庭機能障害に起因するめまい発作を特徴とし, 蝸牛症状やその他の神経症状を呈さない. 聴覚障害がなく定方向性眼振が持続するめまい症例は前庭神経炎を第一に想起するが, 初回診察時に他の神経症状が不明瞭な場合もあり必ずしも末梢性めまいとは限らない. 実際に耳鼻咽喉科外来ではめまいの原因の2.8%~7%が脳血管障害とされ, 大学病院, 市中病院, 診療所と条件は異なれど少なからず中枢性めまいに遭遇する可能性があり注意を要する. 今回は初診時に前庭神経炎を疑われたが最終診断が中枢性めまいの診断となった3症例について報告する. 「対象」2021年1月から2022年5月までの17か月間に当科 (耳鼻咽喉科) を受診した全患者に対して「前庭神経炎」の病名で後方視的に検索したところ, 実際に前庭神経炎を疑われた経緯がカルテ記載されていたのは37症例であった.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.82.201