天然物に学ぶ:Nocardia属放線菌成分

「1. はじめに」天然物探索研究を展開・強化するためには, 天然物資源の収集, 調査, 開拓を継続して行う必要がある. われわれのグループでは, これまでに変形菌, 放線菌, タイ・バングラデシュ産植物等を対象として生物活性スクリーニング研究を行ってきた. 本誌上シンポジウムではNocardia属放線菌からの天然物探索に関する最近の研究について報告する. 放線菌の一種であるNocardia属はグラム陽性細菌であり, その多くが病原性をそなえ, ヒトでは肺や皮膚, 脳などに日和見感染を引き起こす. 当研究室では, 千葉大学真菌医学研究センターとの共同研究に基づき, Nocardia属放線菌を新た...

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Published in:YAKUGAKU ZASSHI Vol. 144; no. 1; pp. 33 - 37
Main Author: 石橋, 正己
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本薬学会 01-01-2024
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」天然物探索研究を展開・強化するためには, 天然物資源の収集, 調査, 開拓を継続して行う必要がある. われわれのグループでは, これまでに変形菌, 放線菌, タイ・バングラデシュ産植物等を対象として生物活性スクリーニング研究を行ってきた. 本誌上シンポジウムではNocardia属放線菌からの天然物探索に関する最近の研究について報告する. 放線菌の一種であるNocardia属はグラム陽性細菌であり, その多くが病原性をそなえ, ヒトでは肺や皮膚, 脳などに日和見感染を引き起こす. 当研究室では, 千葉大学真菌医学研究センターとの共同研究に基づき, Nocardia属放線菌を新たな天然物探索資源として注目した. まずNocardia属を様々な培地で培養(単培養)することにより, Nocardia abscessus IFM10029Tから新規アミノシクリトールnabscessin A, Nocardia inohanaensis IFM0092Tから新規γ-ラクトンinohanalactoneを見い出した.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00161-3