補聴器の適合評価における実耳挿入利得とファンクショナルゲインの比較

補聴器適合中の80症例を対象に, 試聴中の補聴器を用いて5周波数における実耳挿入利得 (REIG) とファンクショナルゲイン (FG) を測定し比較した。非線形増幅補聴器では, 補聴閾値と等しい入力音圧レベルにおけるREIGを比較に用いた。その結果, 高利得のCIC補聴器を装用する1症例でのみ, ハウリングのためREIGの測定が行えなかった。これ以外の症例においては, 250 Hzから2 kHzの周波数では, 2つの測定値は比較的よく一致した。4 kHzでは, REIGはFGより平均約5 dB小さくなり, 差の標準偏差も他の周波数より大きかった。REIG測定における補聴器挿入時のプローブチュー...

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Published in:AUDIOLOGY JAPAN Vol. 52; no. 1; pp. 58 - 65
Main Authors: 松平, 登志正, 佐野, 肇, 上條, 貴裕, 猪, 健志, 鈴木, 恵子, 原, 由紀, 井上, 理絵, 大沼, 幸恵, 岡本, 牧人
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本聴覚医学会 2009
日本聴覚医学会
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Description
Summary:補聴器適合中の80症例を対象に, 試聴中の補聴器を用いて5周波数における実耳挿入利得 (REIG) とファンクショナルゲイン (FG) を測定し比較した。非線形増幅補聴器では, 補聴閾値と等しい入力音圧レベルにおけるREIGを比較に用いた。その結果, 高利得のCIC補聴器を装用する1症例でのみ, ハウリングのためREIGの測定が行えなかった。これ以外の症例においては, 250 Hzから2 kHzの周波数では, 2つの測定値は比較的よく一致した。4 kHzでは, REIGはFGより平均約5 dB小さくなり, 差の標準偏差も他の周波数より大きかった。REIG測定における補聴器挿入時のプローブチューブ位置のずれが, この不一致の一因である可能性が示唆された。いくつかの特殊な場合にはFGの測定が必須であるものの, REIGの測定結果から補聴閾値 (FG) を推定することはノンリニア補聴器でも可能であり, 通常の補聴器の利得評価においては, REIGはFGに比べ利点が多いことが確かめられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.52.58