側方注視方向性眼振を呈した Wernicke 脳症の1例

「緒言」Wernicke脳症は1881年Carl Wernickeにより最初に報告された疾患で, 後にビタミンB1(チアミン)の欠乏による栄養障害性脳症であることが明らかにされた. 意識障害, 眼球運動障害, 失調性歩行が3主徴であり診断に有用な指標であるが, 3徴すべて揃うのは16%にしか過ぎず, 臨床現場においては診断が遅れがちである. 早期に治療を開始しなければ治療効果は少なく, 後遺症が残ることになるため, 早期診断, 早期治療がきわめて重要である. 今回我々は, 食道潰瘍, 縦隔気腫のため経口摂食中止期間が続き, 眼球運動障害, 歩行失調を来たしWernicke脳症と診断した一例を経...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 73; no. 3; pp. 139 - 143
Main Authors: 平澤, 一浩, 小川, 恭生, 大塚, 康司, 稲垣, 太郎, 鈴木, 衞
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2014
日本めまい平衡医学会
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Summary:「緒言」Wernicke脳症は1881年Carl Wernickeにより最初に報告された疾患で, 後にビタミンB1(チアミン)の欠乏による栄養障害性脳症であることが明らかにされた. 意識障害, 眼球運動障害, 失調性歩行が3主徴であり診断に有用な指標であるが, 3徴すべて揃うのは16%にしか過ぎず, 臨床現場においては診断が遅れがちである. 早期に治療を開始しなければ治療効果は少なく, 後遺症が残ることになるため, 早期診断, 早期治療がきわめて重要である. 今回我々は, 食道潰瘍, 縦隔気腫のため経口摂食中止期間が続き, 眼球運動障害, 歩行失調を来たしWernicke脳症と診断した一例を経験したので報告する. 「症例」症例:53歳, 男性. 主訴:ふらつき, めまい. 既往歴:糖尿病 生活歴:飲酒;30代半ばまで大酒家でその後は機会飲酒, 喫煙;20本×33年 現病歴:自宅トイレで倒れているのを偶然発見されたため, 東京医科大学病院救命センターに搬送された.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.73.139