1. 聴性誘発電位
[1. はじめに]めまい疾患の診断においては各種聴覚検査法が重要な役割を担うことも多い. メニエール病においては聴力像や補充現象の有無のほかに蝸電図所見も診断の参考になり, 前庭神経炎においては聴覚障害の無いことが診断の条件となる. MRIの普及した今日ではそれ程でもないが, かつてはABR所見が聴神経腫瘍診断のきっかけとなることも多かった. 本稿では, めまいの診断を念頭において聴性誘発電位の基礎的事項と臨床応用について概説する. [2. 聴性誘発電位](1)聴性誘発電位の起源 聴性誘発電位とは, 音刺激を与えて頭皮上や鼓室, 外耳道などから記録される誘発電位をいう(表1, 図1). 音刺激...
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Published in: | Equilibrium Research Vol. 69; no. 3; pp. 113 - 126 |
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Main Author: | |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2010
日本めまい平衡医学会 |
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Summary: | [1. はじめに]めまい疾患の診断においては各種聴覚検査法が重要な役割を担うことも多い. メニエール病においては聴力像や補充現象の有無のほかに蝸電図所見も診断の参考になり, 前庭神経炎においては聴覚障害の無いことが診断の条件となる. MRIの普及した今日ではそれ程でもないが, かつてはABR所見が聴神経腫瘍診断のきっかけとなることも多かった. 本稿では, めまいの診断を念頭において聴性誘発電位の基礎的事項と臨床応用について概説する. [2. 聴性誘発電位](1)聴性誘発電位の起源 聴性誘発電位とは, 音刺激を与えて頭皮上や鼓室, 外耳道などから記録される誘発電位をいう(表1, 図1). 音刺激により内耳有毛細胞に発生した興奮は蝸牛神経核, 上オリーブ核, 下丘, 内側膝状体など中枢聴覚路を上行して聴皮質に伝達される. 感覚細胞の興奮は, 蝸電図(electrocochleography:ECochG)において加重電位(summating potential:SP)や蝸牛マイクロフォン電位(cochlear microphonics:CM)として記録され, 蝸牛神経活動はaction potential(AP)として記録される. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.69.113 |