消化器がん治療におけるハイパーサーミアの可能性

がん薬物療法は様々ながん種において,殺細胞性抗がん剤を用いた多剤併用レジメンが数多く開発され,それらに分子標的治療薬も加わり,その治療成績は近年大きく向上した.さらに,最近のがん免疫療法の臨床的成功は,がん治療の概念を大きく変化させた. ハイパーサーミアは,これまで主に放射線療法や化学療法との併用療法として臨床開発が行われ,多くのがん種で臨床的成果を得てきた.消化器がん領域においては,直腸がんにおいて,放射線治療とハイパーサーミア併用療法の有用性に関するいくつかの検証的試験とメタ解析の結果が報告されているものの,他の消化器がんでは検証的なランダム化試験はほとんど行われていない.今後,ハイパーサ...

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Published in:Thermal Medicine Vol. 34; no. 3; pp. 35 - 44
Main Authors: 石川, 剛, 岡山, 哲也, 坂元, 直行, 古倉, 聡, 吉川, 敏一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本ハイパーサーミア学会 15-09-2018
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Description
Summary:がん薬物療法は様々ながん種において,殺細胞性抗がん剤を用いた多剤併用レジメンが数多く開発され,それらに分子標的治療薬も加わり,その治療成績は近年大きく向上した.さらに,最近のがん免疫療法の臨床的成功は,がん治療の概念を大きく変化させた. ハイパーサーミアは,これまで主に放射線療法や化学療法との併用療法として臨床開発が行われ,多くのがん種で臨床的成果を得てきた.消化器がん領域においては,直腸がんにおいて,放射線治療とハイパーサーミア併用療法の有用性に関するいくつかの検証的試験とメタ解析の結果が報告されているものの,他の消化器がんでは検証的なランダム化試験はほとんど行われていない.今後,ハイパーサーミアをさらに発展させるためには,第III相臨床試験において,現在の標準治療との併用療法の有効性を検証することが望まれる.また,免疫療法ががん治療の一翼を担うこれからの時代において,ハイパーサーミアと免疫療法併用の臨床的意義についても検討を重ね,さらに理解を深めていく必要がある.
ISSN:1882-2576
1882-3750
DOI:10.3191/thermalmed.34.35