ステントグラフト内挿術における合併症の予防と治療:逆行性A型大動脈解離

ステントグラフト内挿術に伴うRTAD(retrograde type A aortic dissection)とは大動脈弓部,下行大動脈に挿入したステントグラフトによる内膜損傷が発生し,新たな解離が逆行性に上行大動脈に及んだ状態である.TEVARの適応が拡大している現在,発生頻度は1–2%と低いものの,その死亡率は30–40%と高く,重要な問題となっている.ステントグラフト中枢側のベアステントの存在,オーバーサイズ,タッチアップバルーン拡張,留置部小弯側のbird beak現象,zone 2またはより近位への留置などがその発生の危険因子とされている.RTADの治療としては,留置されているステン...

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Published in:日本血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 51 - 56
Main Authors: 内田, 敬二, 安田, 章沢, 長, 知樹, 小林, 由幸, 松本, 淳, 森, 佳織, 池松, 真人, 原田, 祐輔, 町田, 大輔, 鈴木, 伸一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 14-04-2022
日本血管外科学会
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Summary:ステントグラフト内挿術に伴うRTAD(retrograde type A aortic dissection)とは大動脈弓部,下行大動脈に挿入したステントグラフトによる内膜損傷が発生し,新たな解離が逆行性に上行大動脈に及んだ状態である.TEVARの適応が拡大している現在,発生頻度は1–2%と低いものの,その死亡率は30–40%と高く,重要な問題となっている.ステントグラフト中枢側のベアステントの存在,オーバーサイズ,タッチアップバルーン拡張,留置部小弯側のbird beak現象,zone 2またはより近位への留置などがその発生の危険因子とされている.RTADの治療としては,留置されているステントグラフトをfrozen elephant trunkとして利用する上行弓部大動脈人工血管置換が必要となる.TEVARにおいて,各種デバイスの特徴を熟知し,適切な留置法に習熟し,さらに長期的に経過観察を続けることが,治療成績向上のために重要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00090