抗生物質の歯周ポケット内局所療法

従来から行われているスケーリング・ルートプレーニングは現在においても歯周治療の最も基本的な処置であり, かつ最も重要な処置である. これらの処置は, 歯根面から歯石およびプラークで汚染された露出セメント質(汚染セメント質)の除去を目的としていた. これに加え今日では歯周ポケット内細菌を除去する作用がクローズアップされている1,2). メカニカルデプライドメント(機械的清掃)という言葉が歯周治療で用いられ始めたのはこの概念の変化に対応している. 近年, 歯周治療の一環として歯周ポケット内に抗生物質や抗菌剤を直接投与する方法が試みられるようになってきた. これは歯周ポケット内の細菌叢を臨床的に健康...

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Published in:昭和歯学会雑誌 Vol. 13; no. 1; pp. 41 - 44
Main Authors: 大竹, 徹, 長谷川, 紘司
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 昭和大学・昭和歯学会 1993
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Description
Summary:従来から行われているスケーリング・ルートプレーニングは現在においても歯周治療の最も基本的な処置であり, かつ最も重要な処置である. これらの処置は, 歯根面から歯石およびプラークで汚染された露出セメント質(汚染セメント質)の除去を目的としていた. これに加え今日では歯周ポケット内細菌を除去する作用がクローズアップされている1,2). メカニカルデプライドメント(機械的清掃)という言葉が歯周治療で用いられ始めたのはこの概念の変化に対応している. 近年, 歯周治療の一環として歯周ポケット内に抗生物質や抗菌剤を直接投与する方法が試みられるようになってきた. これは歯周ポケット内の細菌叢を臨床的に健康な歯肉溝内の細菌叢に近づけることを目的にしたものである. さらに全身(経口)投与法では, 耐性菌の出現, あるいは過敏症や菌交代現象などの副作用が局所投与法に比べて高いこともその要因の一つになっている. このような背景から, 従来から行われていたスケーリング・ルートプレーニングに代表される機械的な歯肉縁下細菌の抑制法とともに薬物による化学的な抑制法として, 歯周ポケット内への抗生物質を局所に直接投与する方法が開発された. 現在, 厚生省が認可して実際に歯周治療に応用されているのは, サンスター株式会社が開発したベリオクリン(R)である.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.13.41