要介護高齢者の聴覚評価 聴力検査

要旨: 要介護高齢者の難聴の実態を明らかにするため介護老人保健施設の入所者87例 (年齢: 83.5±8.0歳, MMSE: 14±9.0点) に耳内診察と聴力検査を行った。聴力検査では, ボタン押し操作が実施困難な場合はペグさし・発声・挙手等で示される音の検知反応や, 覚醒・音源定位等の聴性行動観察を組み合わせて閾値を評価した。聴力検査の結果の信頼性で対象を4群に分け, 群ごとのMMSE 得点や検査時間を検討した。  耳内所見は初回診察時には28例 (32%) に耳垢栓塞を認めたが, 耳垢除去後正常例も含め64例 (73%) が両側正常, 11例 (13%) が一側所見あり, 12例 (14...

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Published in:AUDIOLOGY JAPAN Vol. 59; no. 2; pp. 124 - 131
Main Authors: 井上, 理絵, 鈴木, 恵子, 梅原, 幸恵, 秦, 若菜, 清水, 宗平, 佐野, 肇, 岡本, 牧人
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本聴覚医学会 28-04-2016
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: 要介護高齢者の難聴の実態を明らかにするため介護老人保健施設の入所者87例 (年齢: 83.5±8.0歳, MMSE: 14±9.0点) に耳内診察と聴力検査を行った。聴力検査では, ボタン押し操作が実施困難な場合はペグさし・発声・挙手等で示される音の検知反応や, 覚醒・音源定位等の聴性行動観察を組み合わせて閾値を評価した。聴力検査の結果の信頼性で対象を4群に分け, 群ごとのMMSE 得点や検査時間を検討した。  耳内所見は初回診察時には28例 (32%) に耳垢栓塞を認めたが, 耳垢除去後正常例も含め64例 (73%) が両側正常, 11例 (13%) が一側所見あり, 12例 (14%) が両側所見ありだった。  要介護高齢者の聴力評価において, 認知機能に合わせ反応方式の変更や聴性行動の観察をすることで, MMSE 得点が24点以上の対象は100%, 11点~23点の対象は91%, 10点以下の対象は38%で, 6周波数の左右耳別聴力閾値が測定できた (87例中62例)。62例中56例 (90%) が両側難聴だった。MMSE 得点と聴力に相関は認めなかった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.59.124