PRULIFLOXACIN (NM441)のラットを用いた経口投与による4週間反復投与毒性試験および4週間回復試験
Prulifloxacinの反復投与毒性を検討するために,0,30,300および3000 mg/kgの投与量で,SD系ラットを用いた4週間経口投与毒性試験および4週間回復試験を実施し,以下の結果を得た。1. 3000 mg/kg投与群で灰緑色調便の排泄および軟便,粗毛ならびに一時的な深大呼吸が認められた。死亡は,同群の1例で被験物質投与に起因して認められた。300 mg/kg以上の投与群で摂餌量の減少と摂水量の増加がみられ,3000 mg/kg投与群では体重増加抑制が認められた。眼科学的検査では特に記すべき変化は認められなかった。2. 尿検査では,300 mg/kg以上の投与群で尿沈渣中に小円...
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Published in: | The Journal of Toxicological Sciences Vol. 21; no. SupplementI; pp. 45 - 70 |
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Main Authors: | , , , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | English Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本毒性学会
1996
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Summary: | Prulifloxacinの反復投与毒性を検討するために,0,30,300および3000 mg/kgの投与量で,SD系ラットを用いた4週間経口投与毒性試験および4週間回復試験を実施し,以下の結果を得た。1. 3000 mg/kg投与群で灰緑色調便の排泄および軟便,粗毛ならびに一時的な深大呼吸が認められた。死亡は,同群の1例で被験物質投与に起因して認められた。300 mg/kg以上の投与群で摂餌量の減少と摂水量の増加がみられ,3000 mg/kg投与群では体重増加抑制が認められた。眼科学的検査では特に記すべき変化は認められなかった。2. 尿検査では,300 mg/kg以上の投与群で尿沈渣中に小円形結晶物の出現,尿の混濁ならびにNa+排泄量の減少がみられ,3000 mg/kg投与群では尿量の増加と尿比重の低下ならびにK+とCl-の排泄量の減少が認められた。3. 血液学的検査では,3000 mg/kg投与群でHbおよびHtの減少,MCVおよびMCHの低値ならびにWBCの増加がみられた。4. 血液化学的検査では,3000 mg/kg投与群でBUNの増加,K+およびCl-の減少が認められた。また,300 mg/kg投与群でK+の減少とγ-グロブリン比率の低下が認められた。5. 病理学的検査では,各被験物質投与群の盲腸で重量の増加がみられ,300 mg/kg以上の投与群で肉眼的に膨満が,組織学的に吸収上皮細胞の腫大が認められた。腎臓では,300 mg/kg以上の投与群で尿細管腔内に結晶を伴う腎症が認められ,3000 mg/kg投与群では重量増加を伴っていた。6. 回復試験では,γ-グロブリン比率の低下,BUNの増加,尿量の増加と尿比重の低下が依然として認められた。その他の投与期間終了時に認められた変化については消失ないしは軽減し回復性が確認された。また,3000 mg/kg投与群で大腿骨遠位端の関節軟骨に潰瘍や小空隙が認められ,線維性組織の増生を伴うものも認められた。7. 被験物質活性本体の血漿中および尿中濃度は投与量に依存して増加を示し,その増加度に性差は認められなかった。また反復投与に伴う血漿中濃度の変化も認められなかった。以上のごとく,30 mg/kg投与群では盲腸重量の増加以外にはprulifloxacinの抗菌作用に基づくと考えられる特記すべき変化は認められなかった。従って,今回の試験で得られた無毒性量は30 mg/kgであった。 |
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ISSN: | 0388-1350 1880-3989 |
DOI: | 10.2131/jts.21.SupplementI_45 |