乳房原発のnon-Hodgkin lymphoma放射線治療が著効を示した脳実質内転移例

症例は48才の女性. 1982年2月に左乳房の無痛性腫瘤に気付き, 5月根治的左乳房切除術を受け,乳房原発のnon-Hodgkin lymphoma, diffuse, medium-sized cell type (LSG分類)で,臨床病期はIEと診断された.翌1983年3月,外来で経過観察中に右乳房の腫瘤を発見され, 4月生検により前回と同様の組織所見が得られたため, 5月に根治的右乳房切除術が行なわれた. 6月より全身の再発巣の検索を受けたが明らかな再発巣は発見されず, VEPA療法およびOK-432による免疫療法を受けた後, 9月より寛解状態となり外来通院していた. 11月,意識障害,...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 338 - 345
Main Authors: 西尾, 健資, 松井, 真, 須賀, 博文, 秋口, 一郎, 亀山, 正邦, 錦織, 優
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 1985
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Description
Summary:症例は48才の女性. 1982年2月に左乳房の無痛性腫瘤に気付き, 5月根治的左乳房切除術を受け,乳房原発のnon-Hodgkin lymphoma, diffuse, medium-sized cell type (LSG分類)で,臨床病期はIEと診断された.翌1983年3月,外来で経過観察中に右乳房の腫瘤を発見され, 4月生検により前回と同様の組織所見が得られたため, 5月に根治的右乳房切除術が行なわれた. 6月より全身の再発巣の検索を受けたが明らかな再発巣は発見されず, VEPA療法およびOK-432による免疫療法を受けた後, 9月より寛解状態となり外来通院していた. 11月,意識障害,右不全片麻痺,構語障害を主訴に当科に入院した.頭部CTで右側脳室傍前角領域および左基底核領域に,造影増強効果陽性の腫瘤を認めた.臨床経過と頭部CT所見よりnon-Hodgkin lymphomaの脳実質内転移を疑い, Linac 10 MeV X線による全脳照射(総線量4020rad)と副腎皮質ステロイド薬投与を行なつた.これらにより臨床症状は著明に改善した.また,治療効果判定のために実施した頭部CT検査でも著効を示し,造影増強効果のある腫瘤は消失した. 12月末に,右上下肢の軽度筋力低下を残すのみとなり,軽快退院した.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.74.338