術後尿中カテコラミンの推移に及ぼす手術侵襲の影響

胃切除術,子宮摘出術,股関節手術を受けた患者をそれぞれの群に分け,麻酔導入直後の膀胱内貯留尿のカテコラミン(CA)濃度を対照値とし,術後7日間の早朝新鮮尿中CA濃度を測定し,その推移を比較検討した. 尿中CA濃度は,回復室で一番高く,術後1日でほぼ対照値に近くなっているが,胃切除群の尿中ノルエピネフリン濃度のみが他の手術群に比べて,その回復が有意に遅延し,術後7日間にわたって対照値より高値を示した.一方,各群の尿中エピネフリン濃度は術後,逆に対照値に比較して有意に低値を示し,正常値とは有意差がなかった. 以上の成績から,胃切除術では術後少なくとも7日間は交感神経の活性充進が持続することが示唆さ...

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Published in:日本臨床麻酔学会誌 Vol. 12; no. 3; pp. 379 - 383
Main Authors: 槇田, 徹次, 柴田, 治, 辻田, 俊也, 津崎, 建, 福崎, 誠, 後藤, 裕
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本臨床麻酔学会 1992
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Description
Summary:胃切除術,子宮摘出術,股関節手術を受けた患者をそれぞれの群に分け,麻酔導入直後の膀胱内貯留尿のカテコラミン(CA)濃度を対照値とし,術後7日間の早朝新鮮尿中CA濃度を測定し,その推移を比較検討した. 尿中CA濃度は,回復室で一番高く,術後1日でほぼ対照値に近くなっているが,胃切除群の尿中ノルエピネフリン濃度のみが他の手術群に比べて,その回復が有意に遅延し,術後7日間にわたって対照値より高値を示した.一方,各群の尿中エピネフリン濃度は術後,逆に対照値に比較して有意に低値を示し,正常値とは有意差がなかった. 以上の成績から,胃切除術では術後少なくとも7日間は交感神経の活性充進が持続することが示唆された.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.12.379