シスプラチン投与患者に対するvideo head impulse test
「はじめに」シスプラチン (CDDP) は多くの癌治療に用いられる薬剤であるが, 腎臓・内耳・神経などの臓器に障害を生じる. 内耳のうち蝸牛への影響は難聴としてあらわれるが, CDDPによる難聴は年齢, 用量, 投与頻度により増加する. とくに, 1日投与量が80mg/m2以上で累積投与量では300mg/m2を超えると難聴出現の傾向は顕著となるとされる. 一方, 内耳のうち前庭への影響については報告が一定していない. 組織学的にはCDDPを高用量で投与後の患者の剖検例で前庭感覚上皮は保たれていたとする一方, 動物実験では低用量でも前庭有毛細胞の障害がみられたとの報告もある. 機能的には回転いす...
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Published in: | Equilibrium Research Vol. 83; no. 4; pp. 199 - 207 |
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Main Authors: | , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
31-08-2024
日本めまい平衡医学会 |
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Summary: | 「はじめに」シスプラチン (CDDP) は多くの癌治療に用いられる薬剤であるが, 腎臓・内耳・神経などの臓器に障害を生じる. 内耳のうち蝸牛への影響は難聴としてあらわれるが, CDDPによる難聴は年齢, 用量, 投与頻度により増加する. とくに, 1日投与量が80mg/m2以上で累積投与量では300mg/m2を超えると難聴出現の傾向は顕著となるとされる. 一方, 内耳のうち前庭への影響については報告が一定していない. 組織学的にはCDDPを高用量で投与後の患者の剖検例で前庭感覚上皮は保たれていたとする一方, 動物実験では低用量でも前庭有毛細胞の障害がみられたとの報告もある. 機能的には回転いす検査や温度刺激検査 (以下カロリックテスト) で調べた半規管機能について高度障害例の報告もあるが, 投与量に関係なくCDDPによる半規管障害のエビデンスはないとする報告もある. ところが高周波数刺激による報告はカロリックテストのような低周波数刺激の場合と結果が異なる. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.83.199 |