抗ChE薬(3H-distigmine bromide)の白鼠における腸管吸収,臓器および組織内とり込み

Distigmine bromideは機能基である4級アンモニウム2個がヘキサメチレン基で結合した構造を有し, true cholinesterase (true ChE)と結合て抗ChE作用を発揮する薬物である.最近,本薬は弛緩性便秘に用いられて高い有効率が報告されている.われわれは,本薬が腸管組織のいかなる部位に入りその作用を現わすのかを知る目的で,3Hを標識したdistigmine bromideを使つて,白蝋で腸管からの吸収,臓器内とり込み,さらにautoradiographyで腸管組織における局在を検討した.その結果吸収率は投与120分後で約80%,臓器別とり込みは肝に3~5%と最も...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 60; no. 4; pp. 299 - 304
Main Authors: 菊池, 弘明, 佐藤, 東, 富田, 重照, 鹿野, 真勝
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 1971
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Description
Summary:Distigmine bromideは機能基である4級アンモニウム2個がヘキサメチレン基で結合した構造を有し, true cholinesterase (true ChE)と結合て抗ChE作用を発揮する薬物である.最近,本薬は弛緩性便秘に用いられて高い有効率が報告されている.われわれは,本薬が腸管組織のいかなる部位に入りその作用を現わすのかを知る目的で,3Hを標識したdistigmine bromideを使つて,白蝋で腸管からの吸収,臓器内とり込み,さらにautoradiographyで腸管組織における局在を検討した.その結果吸収率は投与120分後で約80%,臓器別とり込みは肝に3~5%と最も多く,その他,脳,心肺,腎には1%前後であつた.autoradiographyで腸管組織内の3Hの存在部位を調べると,銀粒子は,Auerbach神経叢を除く筋層にびまん性にみられたが,この所見は腸管のChE分布を組織化学的にみたDonhofferの報告にみるtrue ChEの存在部位と一致するものと思われる.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.60.299