麻酔導入時に冠動脈攣縮で発症したロクロニウムによるアナフィラキシーショック(Kounis症候群)の1例

[要旨] ロクロニウムによるアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症したと考えられるKounis症候群の1例を経験した. 内頚動脈内膜剥離術の予定手術患者にレミフェンタニル, プロポフォール, ロクロニウムで麻酔を導入したところ, 心電図上ST上昇を認め, 高度循環虚脱となった. 直ちに循環虚脱に対する治療を行ったが, その後全身性皮膚紅潮を認め, 薬物によるアナフィラキシーを疑った. 後日の皮膚テストでロクロニウムによるアナフィラキシーと診断した. 本症例はアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症し, 呼吸器所見がなく, 皮膚症状の発現が遅かったことが特徴であった. 心臓はアナフィラキシーの標的臓器であ...

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Published in:日本臨床麻酔学会誌 Vol. 32; no. 7; pp. 923 - 928
Main Authors: 成田湖筍, 金澤正浩, 鉄周平, 安藤智子, 福山東雄, 鈴木利保
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本臨床麻酔学会 15-11-2012
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Summary:[要旨] ロクロニウムによるアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症したと考えられるKounis症候群の1例を経験した. 内頚動脈内膜剥離術の予定手術患者にレミフェンタニル, プロポフォール, ロクロニウムで麻酔を導入したところ, 心電図上ST上昇を認め, 高度循環虚脱となった. 直ちに循環虚脱に対する治療を行ったが, その後全身性皮膚紅潮を認め, 薬物によるアナフィラキシーを疑った. 後日の皮膚テストでロクロニウムによるアナフィラキシーと診断した. 本症例はアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症し, 呼吸器所見がなく, 皮膚症状の発現が遅かったことが特徴であった. 心臓はアナフィラキシーの標的臓器であり, アナフィラキシーに心筋虚血を併発する“Kounis症候群”に注意が必要である. 「はじめに」 今回, 麻酔導入時にロクロニウムによるアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症した症例を経験したので報告する.
ISSN:0285-4945