慢性硬膜下血腫の術直後に反対側に急性硬膜下血腫を併発した長期透析患者の1例

長期透析患者における頭蓋内血腫, 特に慢性硬膜下血腫は, 正常人に比べその発生頻度がきわだって高いとされており4), その理由として水分の異常変動や抗凝固剤の影響などいくつかの推測がなされているが, いまだはっきりしたことは判っていない. 本疾患では, 従来dialysis equilibrium syndromeとの鑑別が困難8)とされたが, CTの急速な普及によりこうした鑑別ははるかに容易になってきている. さらに, 開頭法から穿頭洗滌法への手術法の変遷に伴い, こうした患者への手術が安易になされている可能性がある. しかし, 本疾患の予後はけっして良好ではなく, Leonard A. ら...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 6; pp. 510 - 513
Main Authors: 永田和哉, 井手隆文, 馬杉則彦, 瀬在義則
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1986
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Description
Summary:長期透析患者における頭蓋内血腫, 特に慢性硬膜下血腫は, 正常人に比べその発生頻度がきわだって高いとされており4), その理由として水分の異常変動や抗凝固剤の影響などいくつかの推測がなされているが, いまだはっきりしたことは判っていない. 本疾患では, 従来dialysis equilibrium syndromeとの鑑別が困難8)とされたが, CTの急速な普及によりこうした鑑別ははるかに容易になってきている. さらに, 開頭法から穿頭洗滌法への手術法の変遷に伴い, こうした患者への手術が安易になされている可能性がある. しかし, 本疾患の予後はけっして良好ではなく, Leonard A. らの報告5)では13例中生存例はわずかに2例のみであったという. にもかかわらず, こうした本疾患の予後の悪さについてCTの普及以後に述べた報告はみられない.
ISSN:0470-8105