脊髄軟膜下神経鞘腫の1例

脊髄髄内に発生する神経鞘腫の報告は, 文献上, 本報告を含めてすでに23例に達している. しかしその発生母地に関する議論は, 本疾患の最初の報告者であるKemohan9)の論文以来定説がなく, いくつかの仮説が提唱されてきた9, 13, 16). また一方で, 本腫瘍の脊髄横断面での局在に関してこれまでの報告を総合すると, 脊髄軟膜下に発育する一群が認められるにもかかわらず, このことを強調した報告は少ない2, 25). 我々は頸髄の後索, 軟膜下に発育した神経鞘腫の1例を経験したが, 本症例は髄内神経鞘腫の発生母地に関してきわめて示唆に富み, また“軟膜下腫瘍”(sub-pial tumor...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 5; pp. 370 - 374
Main Authors: 宝金清博, 阿部弘, 岩崎喜信, 都留美都雄, 宮坂和男
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1983
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Description
Summary:脊髄髄内に発生する神経鞘腫の報告は, 文献上, 本報告を含めてすでに23例に達している. しかしその発生母地に関する議論は, 本疾患の最初の報告者であるKemohan9)の論文以来定説がなく, いくつかの仮説が提唱されてきた9, 13, 16). また一方で, 本腫瘍の脊髄横断面での局在に関してこれまでの報告を総合すると, 脊髄軟膜下に発育する一群が認められるにもかかわらず, このことを強調した報告は少ない2, 25). 我々は頸髄の後索, 軟膜下に発育した神経鞘腫の1例を経験したが, 本症例は髄内神経鞘腫の発生母地に関してきわめて示唆に富み, また“軟膜下腫瘍”(sub-pial tumor)と言うべき髄内腫瘍の特殊型であると考え, 文献的考察を加えて報告する. 症例 <患者>42才, 女性 主訴:両下肢, 左上肢のしびれ 家族歴および既往歴:特記すべきことはなく, Reckling-hausen氏病などの家族歴もなし
ISSN:0470-8105