放射線照射にて消失し, 6年後に脳室内腫瘍にて再発したGerminomaの1例

頭蓋内germ cell tumorの再発例の予後は不良であり, その治療に苦慮するところである. 今回我々は, 初回鞍上部germinomaの診断にて放射線照射を行いCT上腫瘍の消失を認め, 6年の経過にて脳室内に塊状に腫瘍の再発を認めた1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 〈患者〉23才, 男性 主訴:頭痛, 物忘れ 既往歴:3才時ジフテリア, 5才時結核 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:1979年5月頃, 口渇, 多飲, 多尿にて発症し, しだいに全身倦怠感, 食欲の低下, 脱毛などが出現してきた. 以後3ヵ月間で体重が9kg減少し, 8月より1日2回程度の嘔吐を...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 6; pp. 510 - 514
Main Authors: 飛騨一利, 会田敏光, 阿部弘
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1989
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Description
Summary:頭蓋内germ cell tumorの再発例の予後は不良であり, その治療に苦慮するところである. 今回我々は, 初回鞍上部germinomaの診断にて放射線照射を行いCT上腫瘍の消失を認め, 6年の経過にて脳室内に塊状に腫瘍の再発を認めた1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 〈患者〉23才, 男性 主訴:頭痛, 物忘れ 既往歴:3才時ジフテリア, 5才時結核 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:1979年5月頃, 口渇, 多飲, 多尿にて発症し, しだいに全身倦怠感, 食欲の低下, 脱毛などが出現してきた. 以後3ヵ月間で体重が9kg減少し, 8月より1日2回程度の嘔吐を認めるようになり, 10月8日当院内科に入院した. 入院時, CT scanにて鞍上部に増強像を認め, 11月1日当科外来を受診した. この際神経学的には異常なく, 血管撮影および気脳写を施行し, 鞍上部germinomaの疑いにて総線量4480radの放射線照射を施行した. 照射後, CT上腫瘍の縮小および増強像の消失を認め, 1980年2月19日内科を退院した.
ISSN:0470-8105